5分でわかる!グリフィスの実験
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この動画の要点まとめ
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「病原性ありのS型菌」と「病原性なしのR型菌」
グリフィスは 肺炎双球菌 というものを使って実験を行いました。この肺炎双球菌は空気中を漂っていて、吸い込むと肺炎になってしまう少し怖い菌です。
肺炎双球菌には、下の図のように周りに 鞘 と呼ばれるカプセル状の構造を持つ S型菌 と、鞘を持たない R型菌 という2つの型があります。
S型菌はカプセルの表面がツルツルとしているため、免疫細胞に捕まりにくいという特徴があります。よって、S型菌は増殖して、肺炎を引き起こしてしまうため、 病原性がある 菌なんですね。
一方、R型菌は表面がゴツゴツとしているため、免疫細胞に捕まりやすく、除去されます。よってR型菌は増殖せず、肺炎を引き起こさないため 病原性はない 菌なります。
まとめると、鞘持ちのS型菌は病原性ありで、鞘なしのR型菌は病原性なしということを覚えておいてください。
病原性はない"はず"の実験でマウスが死亡
次に、グリフィスはこの肺炎双球菌を使ってどのような実験を行ったかを、下の図を用いて説明していきますね。
1つ目の実験 は 生きたS型菌 をマウスに打ちました。S型菌は病原性を持っているので、結果マウスは肺炎になってしまい、死んでしまいます。
2つ目の実験 は 生きたR型菌 をマウスに打ちました。R型菌は病原性を持っていないので、結果マウスは肺炎になることなく、生き残ります。
3つ目の実験 は煮沸つまり、 煮て殺菌されたS型菌 をマウスに打ちました。もちろんS型菌は死んでしまっているので、マウスは肺炎にならずに、生き残ります。
注目してほしいのは、 4つ目の実験 です。 煮沸されたS型菌と生きたR型菌 をマウスに打ちました。両方とも病原性はないはずなので、生き残ると思いますよね。しかし、実験ではマウスは死に、その体内からは生きたS型菌が検出されました。いったいなぜでしょうか。
形質を変化させた物質は「熱に強い」
いろいろな説が考えられますが、死んだS型菌が生き返ったということはあり得ませんよね。
だったら、元々鞘を持っていないR型菌が鞘を持つように変化したのでは、とグリフィスは考えたのです。煮沸されたS型菌の何かの成分が、R型菌に鞘を作るように働きかけたのだと。
この4つ目の実験のように、形質を変化させる現象のことを 形質転換 と呼びます。
煮沸されたS型菌からR形菌に移ったものは、恐らく熱に強い物質だとグリフィスは考えました。細胞の中で熱に強いものは沢山ありますが、タンパク質は熱に強くありません。しかし、 核の中に入っているDNAは熱に強い ということがわかっていました。
このことから、グリフィスは R型菌の形質を変えるものが、熱に強いものとしてDNAである 可能性を見出しました。つまり、遺伝子がDNAである可能性を示したということになります。
遺伝子について、グリフィスがどんな実験を行ったかを解説していきましょう。