5分でわかる!物質収支
- ポイント
- 練習
この動画の要点まとめ
ポイント
取り入れる有機物量と、失われる有機物量
生態系を構成する生物は有機物の摂取の仕方(栄養段階)によって、生産者・消費者・分解者の3段階に分類できました。
生産者は無機物から有機物を作り出し、消費者は生産者から有機物を得ています。では、それぞれの栄養段階における有機物は、いったいどのような形で使われているのでしょうか。生産したり、取り入れたりする有機物量と、使ったり、失ったりする有機物量に着目した収支の詳細を見ていきましょう。
現存量+総生産量で、有機物量全体
図は、生産者における有機物の内訳を示した図になります。
このグラフ全体が、生産者における有機物量の全体だと考えてください。いきなり見てもわけがわからないと思いますから、1つずつ用語をおさえながらみていきましょう。
まずは、グラフの一番左の 現存量 から解説します。現存量とは、その生物自身の体の有機物量のことです。
現存量の右側部分は、 総生産量 になっています。総生産量とは、生産者である植物が、光合成によってつくった有機物量の全体をさします。
現存量(自分の体の有機物量)+総生産量(つくった有機物量)で、生産者における全体の有機物量を表していることが確認できましたか。
有機物は、呼吸によって消費される
生産者がつくった有機物、つまり総生産量はいったいどのように消費されているのでしょうか?
一部は生産者が生きるための呼吸に消費されます。グラフで 呼吸量 と示されていますね。総生産量から呼吸量をひいたものを 純生産量 といいます。
枯死や被食によっても失われる
また、植物は生育していくうえで、一部が枯れてしまったり死んでしまったりすることがあります。枯れたり死んだりして失った有機物の量のことを 枯死量 といいます。
さらに、生産者である植物は、一次消費者によって葉などを食べられてしまうことがありますね。食べられた有機物の量のことを 被食量 といいます。
生産者がつくった有機物量である総生産量から、呼吸量・枯死量・被食量を引いて残った有機物量が、自らの体の成長にまわせる有機物量となります。これを 成長量 といいます。
生産者の被食量=消費者の摂食量
次に、消費者について考えます。 生産者における食べられた有機物量(被食量)は、消費者における食べる有機物量と等しい量になります ね。消費者が生産者を食べて取り入れた有機物量のことを 摂食量 といいます。
摂食量は、口に入った量というイメージです。ただし、取り入れた有機物すべてが体内に吸収されるわけではありません。一部は消化できなかたり、吸収しきれなかったりして、排泄物として体外に出されます。排出される有機物の量を 不消化排出量 といいます。
消費者が消費する有機物の内訳は?
消費者における摂食量から不消化排出量をのぞいた有機物量のことを、 同化量 と呼びます。
同化量すべてが、自らの体の成長に回せる量ではありません。消費者も、生きるために必要な 呼吸量 を消費しますね。同化量から呼吸量を差し引いた有機物の量のことを 純同化量 といいます。
さらに、消費者の細胞も死亡することがありますから、その失った有機物量を 死亡量 として引きます。また、一次消費者が二次消費者によって食べられる際の 被食量 も考えなければなりません。
こうして、同化量から呼吸量、死亡量、被食量を引いて残った有機物量が、自らの成長に回せる 成長量 になるのです。
有機物の収支の内訳は、すべて説明できるようにしておきましょう。特に生産者の被食量が消費者の摂食量と同じであること、消費者の同化量は摂食量から不消化排出量を引いたものというところが重要になります。
ちなみに、分解者はここで紹介していませんが、消費者や生産者の「枯死量」「死亡量」「不消化排出量」から有機物を得ることになります。
今回は生態系の中での 有機物の内訳 に注目していきます。