5分でわかる!酸性雨
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この動画の要点まとめ
ポイント
人間が起こした復元力を超える攪乱
生態系の一部を破壊する出来事を 撹乱 といいましたね。攪乱が起きても、復元力の範囲内であれば長い年月をかけ、生態系は元に戻ることができますが、人間の活動は時に非生物的環境に大きな影響を与えてしまう攪乱を起こします。
非生物的環境が大きく変化すると、作用という形で生物全体に影響を及ぼします。今回は、人間が起こしてしまった攪乱である 酸性雨 について見ていきましょう。
硝酸(HNO3)や硫酸(H2SO4)が溶けた雨
酸性雨とは、工場や自動車から排出された大気汚染物質などにより、強い酸性となって降る雨のことをいいます。酸性雨が生じる化学反応を式でまとめると、次のようになります。
窒素酸化物・硫黄酸化物 が大気中に存在する 水・酸素 と化学反応を起こし、強い酸性の 硝酸(HNO3) や 硫酸(H2SO4) ができるのです。
排煙中の窒素酸化物・硫黄酸化物が水・酸素と反応
酸性雨が引き起こされてしまった過程を模式図で確認していきましょう。
式の一番左側にある 窒素酸化物・硫黄酸化物 は、工場から排出される煙によく含まれています。工場の煙に窒素酸化物・硫黄酸化物が含まれるのは、 化石燃料 の燃焼が関わっています。
これが大気中の水や酸素と反応して、 硝酸(HNO3) や 硫酸(H2SO4) ができます。硝酸や硫酸は工場の排煙にもともと存在するのではなく、大気中の化学反応によってつくられるということですね。
硝酸や硫酸は大気中の水分に溶け込み非常に強い酸性の液体になります。強い酸性の液体が降雨に入ることで酸性の雨が降り、酸性雨になります。
酸性雨が降ると、生態系にはどのような影響があるのでしょうか。土壌に酸性の雨が染み込むことにより、樹木は枯死してしまいます。湖沼に降り注げば、そこに住む魚が死滅してしまいます。酸性雨によってもたらされる撹乱が復元力を超えてしまうと、生態系は徐々に衰退していってしまいます。
生態系は、非生物的環境が生物に影響を及ぼす 作用 と、その逆の 環境形成作用 によって、そのバランスが保たれています。