5分でわかる!補酵素による調節
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この動画の要点まとめ
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補酵素は、酵素の活性を上げるために必要な物質
酵素は基質と結合し、生成物をつくります。
しかし、酵素だけが基質と結合するわけではありません。
多くの場合、補酵素と呼ばれる物質の働きによって酵素と基質は結合できるのです。
次の図を見てください。
これは、補酵素を介した酵素反応の様子です。
図の下部に描かれた凸型の構造物は酵素、図の上部に描かれた2つの構造物は生成物です。
また、酵素の上部の突出した部分は活性部位です。
酵素の活性部位に、色の濃い三角形の構造物が結合しているのが分かりますか?
これが補酵素です。
図は、補酵素により活性部位が変形した酵素が、基質と結合できるようになった結果、生成物をつくった様子を表しています。
酵素には、補酵素を介すことで基質と結合できるようになるものが多く存在します。
補酵素は、酵素の活性を上げるために必要な物質と言うこともできますね。
補酵素⇒非タンパク質・低分子・酵素と可逆的に結合
補酵素は、どのような成分でできていると思いますか?
実は、ビタミンのような非タンパク質でできています。
タンパク質は、熱が加わると簡単に形が変わってしまう性質がありましたね。
それに対して補酵素は、タンパク質でできていないので、熱に非常に強い性質があります。
また、補酵素は低分子で、酵素と可逆的に結合するという性質もあります。
補酵素の働きを確認する実験
最後に、補酵素の働きを確認する実験について、見ていきましょう。
次の図を見てください。
まず、セロハン膜という半透膜でできた袋を用意します。
半透膜とは、小さい物質だけが透過できる膜です。
その中に、酵素と補酵素が結合したものを多量に含んだ溶液を入れ、セロハン膜の袋の口を閉じます。
次に、水の入ったビーカーを用意し、ビーカーの中にセロハン膜の袋を浸します。
しばらくした後、セロハン膜の袋を取り出し、袋の中の酵素に酵素活性が見られるかを調べます。
実験の結果はどうなったと思いますか?
実は、セロハン膜の袋の中の酵素は、酵素活性がなくなっていたのです。
つまり、セロハン膜の袋の中の補酵素が減少したということです。
この実験から、補酵素は、半透膜を通過できるほど小さい分子であることが分かります。
また、酵素と補酵素は常に結合しているわけではないことも分かりますね。
ちなみに、このように、大きい分子と小さい分子を半透膜を用いて分離する操作を透析といいます。
補酵素によって酵素の活性を調整
みなさんは、酵素と補酵素の関係について学習してきました。
それではなぜ、酵素は基質と結合するために補酵素を介す必要があるのでしょうか?
酵素は非常に大きい分子です。
そのため、低分子の補酵素に比べ、生成するには時間がかかってしまいます。
補酵素は、酵素に比べて短時間で生成することができます。
よって補酵素は、酵素活性を上げたり止めたりする働きを、ごく短時間で行うことができるのです。
これが、酵素が基質との結合に補酵素を利用する理由です。
酵素活性に影響を及ぼす働きのひとつとして、補酵素に注目しましょう。