5分でわかる!ついに崩れた!中世の象徴
- ポイント
- ポイント
- 練習
この動画の要点まとめ
ポイント
ポイントの1つ目は「荘園制の崩壊」です。
これまで何度も登場してきた、中世の象徴とも言える 荘園 。この授業では、ついに 荘園制が崩壊する様子 を学習します。
十字軍の失敗で諸侯が没落
2つ前の授業で、 十字軍派遣 のお話をしました。十字軍におけるキリスト教勢力の主力は 諸侯 でしたね。海外領土を獲得するため、諸侯は時に 借金をしてまで、 約200年間に及んだ十字軍に参加したのです。
しかし、結果はご存知の通りです。 十字軍は結局失敗に終わってしまいました。 こうした背景から、ついに 諸侯の没落が始まります。 それと同時に 彼らが運営する荘園も崩壊していくのです。
貨幣経済の普及と貨幣地代への移行
14世紀以降、ヨーロッパでは 貨幣経済が普及しました。 こちらを見てください。
前回までの授業で紹介した、 中世農業革命 と 商業ルネサンス を覚えていますか?中世ヨーロッパでは、農業生産力が上昇し、作物が余るようになりました。余った作物は放っておくと腐ってしまうので、 お金に換えて価値を保存します。 これが 貨幣経済 の始まりです。
貨幣経済の普及と連動して、農民たちは土地代を 貨幣で納める ようになります。これを 貨幣地代への移行 と表現します。こちらを見てください。
荘園において、領主は農民に土地を貸していました。その土地代として、農民は労働をしたり作物を納めたりしていましたが、貨幣経済の普及とともに 土地代を貨幣で納めるようになったのです。
貨幣経済が普及したことで、もう一つ大きな変化がありました。農民が、 農作物を市場で販売するようになったのです。 こうして、農民は領主への隷属性を弱めていきました。
13世紀以降「農奴解放」が進展
貨幣経済の普及は、これまで荘園の農民に課せられていた、死亡税や相続税といった さまざまな税金の撤廃や緩和につながりました。 農民たちが あらゆる権利を貨幣で購入できるようになったのです。
これまでは荘園に縛られ、さまざまな税金を課されていた農奴たち。彼らが領主の支配から自由になったことを 農奴解放 と表現します。多くの農民が 自営農民 となり、領主は次第に 地主 のような存在になっていきます。
黒死病の流行!人口の1/3が亡くなった...
14世紀半ば、ヨーロッパで大変なことが起こりました。 黒死病 ( ペスト )という疫病が大流行したのです。こちらを見てください。
当時のヨーロッパ社会は、はっきりいって不潔でした。例えば、残飯やゴミは川に投げ込まれていました。当時はトイレもないので、人びとはあちこちで用を足していたのです。
衛生状態が最悪なことも災いし、黒死病は大流行します。 ヨーロッパの人口の1/3が死亡した といわれるほど、その被害は甚大でした。もちろん農業人口も激減したため、 領主は農民への待遇改善を迫られました。 農民たちが土地を捨てて逃げ出さないよう、待遇を改めたのです。例えば 土地代を免除 したり、 税金を免除 したりしました。結果的に 農民の解放がさらに進展 し、同時に 領主の収入は激減しました。
ジャックリーの乱とワット=タイラーの乱
収入が減って困窮化した領主は、封建的な諸権利を再び強化しようと考えました。この動きに対し もちろん農民は反発します。 こちらを見てください。
14世紀半ば以降、各地で大規模な農民反乱が発生しました。1358年には、フランスで ジャックリーの乱 が、1381年には、イギリスで ワット=タイラーの乱 が発生しました。
ワット=タイラーの乱の思想的な指導者であった ジョン=ボール は、「 アダムが耕しイヴが紡いだ時、だれが貴族であったか 」という言葉を残しています。アダムとイヴは、聖書に記された 最初の人類 です。人類が登場したときに、貴族や領主なんて存在はいなかった、 人はもともと平等なんだ というのがジョン=ボールの主張でした。彼の思想は、多くの農民たちに影響を与えました。
中世ヨーロッパ世界の展開、第5回。
今回は「封建社会の崩壊と教皇権の衰退」について学習します。