5分でわかる!絶対王政を批判する思想の登場!
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この動画の要点まとめ
ポイント
ポイントの1つ目は「絶対王政を批判する思想」です。
前回の授業では 経験論 や 合理論 など、絶対王政期に登場した哲学思想を紹介しました。この授業で紹介するのは、哲学思想の中でも 絶対王政を批判する思想 です。いったいどんな思想が誕生したのでしょうか?
コーヒーハウスやカフェが登場!活発な議論が交わされる
絶対王政を批判する政治思想が誕生した背景には、当時のヨーロッパ社会の変化が大きく関係しています。こちらを見てください。
17世紀ごろ、ヨーロッパでは コーヒーハウス 、 サロン 、 カフェ などが普及しました。コーヒーハウスとカフェは 飲食店 、サロンは 社交場 です。
ただし、カフェといっても現代のようにただコーヒーを飲んでくつろぐ場所ではありません。当時、こうした施設には 知識人や学者 が集まり 政治や文化など様々な議題について活発に議論をしていた のです。
コーヒーハウスやカフェの普及で、市民は自由に意見交換できるようになりました。このような環境のもとで 絶対王政を批判する思想 が登場したのです。続いては、実際にどんな思想が登場したのかに注目します。
自然法
最初に紹介するのは 自然法 という思想です。オランダの法学者である グロティウス という人物が主張しました。こちらを見てください。
グロティウスが自然法を提唱するきっかけになったのは、1618年に始まった ドイツ三十年戦争 です。この戦争で多くの犠牲者が出るのを目の当たりにしたグロティウスは、「 国や人種に関係なく、すべての人が守るべきルールがあるのではないか 」と考えたのです。このルールのことを 自然法 といいます。
社会契約説
絶対王政期には社会や国家の在り方についての思想も生まれました。それが 社会契約説 です。こちらを見てください。
イギリスの ホッブズ は著書『 リヴァイアサン 』の中で、法が存在しない状態では「 万人の万人に対する闘い 」が起きると述べました。人びとが野放しにされている状態においては、誰もが本能のままに争いを始めると主張したのです。
ホッブズの考え方は、結果として 絶対王政を擁護する ことになりました。人は放っておけば闘争を始めるので、 絶対王政を敷くことで市民の自由を規制するべき だと、彼の考え方は解釈できるのです。
イギリスの哲学者 ロック はホッブズの考えに異議を唱えました。政府は人びとの財産や幸福を守るために存在しているので、政府がそれらを脅かす場合 市民には革命を起こして抵抗する権利がある と、ロックは主張したのです。彼の考え方は、著書『 統治二論 』の中で展開されています。
最後に、フランスの思想家 ルソー を紹介します。彼は絶対王政を批判し 主権は王ではなく人民にあるべきだ と主張しました。ルソーの著書『 社会契約論 』は、フランス革命に大きな影響を与えました。
啓蒙思想
以上、 自然法 と 社会契約説 の考え方を説明しました。最後にもう一つ、 啓蒙思想 という考え方を紹介します。
啓蒙思想は、理性によって従来の制度や社会の問題点を批判しようという考え方です。 プロイセンやロシア絶対王政 の授業では 啓蒙専制君主 が登場しましたよね。
啓蒙思想を唱えた思想家として、3人の人物をおさえておきましょう。こちらを見てください。
フランスの啓蒙思想家 ヴォルテール は、王の力は神から授かったとする 王権神授説 を批判しました。「神から授かった」なんて証明のしようがありませんよね。ヴォルテールはあくまで 合理的に考えることを主張したのです。
ヴォルテールのほかにも、『 法の精神 』を著した モンテスキュー や、『 百科全書 』を編集した ディドロ と ダランベール も、啓蒙思想家として知られます。
ちなみにモンテスキューは、国家権力を司法・行政・立法の3つに分けるべきだとする 三権分立 を主張しました。この考え方は 近代国家の建設に大きな影響を与えることになりました。
東欧絶対王政の5回目。
前回に引き続き「絶対王政時代の文化」について学習します。