5分でわかる!形式的な美しさに対抗し、個性・感情を爆発!
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この動画の要点まとめ
ポイント
ポイントの1つ目は、「古典主義・ロマン主義文学」です。
19世紀前半のヨーロッパでは、文学作品の傾向として 古典主義 と ロマン主義 という2つの流れが見られました。これら2つのうち、まずは 古典主義 について説明します。
古典主義|昔ながらの形式的な美しさを重視
古典主義とは、ギリシアやローマの古典に見られるような 物語上の調和(典型的なストーリー) を重視する傾向を指します。古典主義の代表的な作家としては『 若きウェルテルの悩み 』や『 ファウスト 』を著した ゲーテ がいます。
ゲーテは古典主義の作家として有名ですが、実は彼の若い頃(18世紀後半)の作品には 調和よりも人間の個性や感情を重視する傾向が見られました。 ゲーテ自身の失恋経験をもとに書かれた『若きウェルテルの悩み』もそうです。
しかし、ゲーテは年を重ねるにつれ 調和のとれた美しさ に魅了されるようになりました。だからこそ、19世紀に書かれた彼の作品には古典主義の傾向が見られるのです。
ロマン主義|形式的な美しさより、人間の個性や感情を重視
19世紀前半のヨーロッパでは、古典主義に反発して 人間の個性や感情を重視するロマン主義が登場しました。 形式的な美しさよりも、好き・嫌いといった個人の感情や直感を重視する傾向をロマン主義といいます。「ロマンチスト」という言葉がありますが、これはもともと ロマン主義を信奉する人 という意味でした。
ロマン主義の作家としては、ドイツの グリム兄弟 が有名です。言語学者であったグリム兄弟は、ドイツ各地の言語(方言)を調査して『 ドイツ語辞典 』を作成しました。また、その調査の過程で各地から集まった童話を『 グリム童話 』として編纂しました。「赤ずきん」「白雪姫」「ブレーメンの音楽隊」などのお話が有名です。
ドイツのロマン主義作家としてもう1人、『 歌の本 』を著した ハイネ も覚えておきましょう。彼はパリで起こったフランス 七月革命 を目の当たりにして、人びとが自由のために戦う姿に感銘を受けたと言います。
19世紀のフランスでは ヴィクトル=ユゴー が『 レ=ミゼラブル 』を著しました。当時のフランスを取り巻く社会情勢や人びとの暮らしを描写しながら、虐げられた貧しい人びとに思いをはせて書かれた作品です。
イギリスではロマン派詩人の バイロン が活躍しました。彼は ギリシア独立戦争 に参加したことで有名です。
このように、ロマン主義の作家たちは形式的な美しさよりも個人の感情を重視した作品を描きました。古典主義とロマン主義、それぞれの特徴をしっかり覚えておきましょう。
19世紀の欧米諸国(3)、第1回。
これから4回の授業を通じて 19世紀の欧米文化 について勉強します。初回のこの授業では、文化の中でも「文学」を扱います。