5分でわかる!人々が時代にあわせてとった思考プロセスとは!?
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この動画の要点まとめ
ポイント
ポイントの1つ目は、「哲学の発達」です。
19世紀のヨーロッパでは、多くの哲学者が「よりよく生きるためにはどうすれば良いか」と考えるようになりました。代表的な哲学者を紹介していきます。
ドイツ観念論
19世紀には ドイツ観念論 哲学が完成しました。ドイツ観念論は18世紀末にドイツの哲学者 カント が確立した考え方です。彼は人間の理性の限界を指摘し、批判的な哲学を展開しました。
この考え方を完成させたのが ヘーゲル です。彼は 弁証法哲学 を導入することでドイツ観念論を大成しました。
ヘーゲルは「全てのモノや考え方は、ある部分からみれば正しく、ある部分からみると間違っている」と指摘しました。もう少し細かくいうと、 モノ(事象)や考え方にはそれ自身の否定が含まれている と考えたのです。
例えばAという考えに対しては、それを否定するBという考えが存在します。ヘーゲルはこれら対立するA・Bの考えから、よりレベルの高いCという考えを生み出すことを主張したのです。
こうして生まれたCという考えにも、またDという反対の考えが存在することになります。こうして、ある1つの存在や考え方と、それを否定する立場の存在や考え方によって、より高次な存在や意見が生まれるという考え方を 弁証法哲学 といいます。
史的唯物論
ヘーゲルの弁証法哲学は 歴史の捉え方 にも応用されるようになりました。それが 史的唯物論 です。ドイツ生まれの哲学者 マルクス は、弁証法哲学を応用して 史的唯物論 という考え方を唱えました。
マルクスは友人の エンゲルス と共に 歴史の発展法則 を探求しました。人間社会の歴史にも自然と同様に 客観的な法則 があると考えて、ヘーゲルの弁証法哲学に基づいてその法則を探求したのです。
マルクスが考えた史的唯物論は、後にある思想を生み出すことにつながりました。その思想についてはポイント2で説明します。
功利主義
19世紀のイギリスでは 功利主義 という考え方が登場しました。功利主義とは 人生の目的は利益や幸福を追求することにある とする考え方です。「利益主義」のような考え方だと思ってください。
功利主義を唱えたのは ベンサム という人物でした。彼の考え方は「 最大多数の最大幸福 」という標語によく表れています。ベンサムは、多数決をとり できるだけ多くの人に幸福をもたらす意見や考えを取り入れ実行していく ことで、社会や国全体の幸福につながると考えたのです。
ただし、ベンサムの考え方に疑問を呈した人物もいました。その名も ジョン=ステュアート=ミル です。彼は多数決は万能ではない、つまり多くの人が喜ぶからといってその意見や考え方が正しいとは限らないと主張したのです。 彼は幸せの「数」や「量」ではなく「中身」や「質」を重視しました。
実証主義
イギリスで 功利主義 が登場した一方で、フランスでは 実証主義 という考え方が登場しました。フランスの哲学者 コント が体系化した考え方です。
コントは 哲学に科学的な手法を取り入れた 哲学者でした。私たちが目にする物事や出来事には 何かしらの因果関係があるのではないか と考え、 経験的事実に基づいて 探求を進めていったのです。
また、このような姿勢で社会現象を探求していく学問を 社会学 といいます。コントは「 社会学の父 」と呼ばれることもあります。
社会学の対象は、経済・都市・家族など多岐にわたります。例えばあるマンガが爆発的に売れたとして、どうしてそのマンガが人びとに受け入れられたのかを考え、その原因を探求していくのも社会学です。
このように19世紀のヨーロッパでは、人びとの暮らしや幸せについて考える哲学が発達しました。紹介した哲学者と、それぞれの考え方を覚えておきましょう。
19世紀の欧米諸国(3)、第3回。
今回は、「哲学・社会主義思想」について学習します。