5分でわかる!帝国主義をみる視点
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まず「 帝国主義 」という言葉の意味を説明します。帝国主義とは 欧米列強が19世紀後半以降、領土や植民地の拡大を求めて海外に進出した動き を指します。例えばイギリスやフランスが 植民地を求めて 海外に進出していったのです。
では、イギリスやフランスはどうして植民地が欲しかったのでしょうか?実は、その理由は19世紀後半に起きた 第2次産業革命 に秘密がありました。
18世紀後半にイギリスで始まった 世界初の産業革命 は 第1次産業革命 と呼ばれています。イギリスは機械や工場を導入し、 綿製品 をつくって輸出することで発展をとげました。
これに対し、19世紀後半から欧米では 重化学工業 を中心とする産業技術の革新が見られました。これを 第2次産業革命 といいます。重化学工業とは、鉄鋼・造船・機械などの重工業と、石油などを加工する化学工業を合わせた呼び方です。ちなみに第2次産業革命では石油や 電力 が主な動力源となりました。
第2次産業革命が進展した国では、かつて「世界の工場」と呼ばれたイギリスに対抗できるほどの工業発展が見られるようになりました。こちらを見てください。
このグラフは1870年以降の 主要国の工業生産指数 です。1870年を基準とした 成長率 が示されていると考えてください。
第2次産業革命の中心となったのはA アメリカ とB ドイツ でした。グラフからも分かるように、アメリカとドイツは イギリスを圧倒する勢いで工業発展を遂げたのです。
ただし、第2次産業革命の中心となった重化学工業には 莫大な資金が必要でした。 例えば造船業の場合だと、船を作る機械はもちろん、鉄を溶かして加工する工場や、ネジなどの部品をつくる工場も必要です。こうした設備を整えるのには多額の費用がかかりました。
加えて1870年代は 世界的な不況 でした。中小企業は次々と倒産し、一部の「強い企業」だけが生き残りに成功しました。こうして生き残った企業は市場を独占し 独占資本 を形成するようになりました。
生き残った強い企業は 銀行 からお金を借り、第2次産業革命を迎えるための 設備投資 を行いました。銀行は人びとから集めた預金を企業に投資し、企業はそのお金をもとに利益を出し、利子をつけて銀行に返済します。こうして独占資本と銀行が結びいていくことになりました。
ここで1つ問題がありました。せっかく製品を作っても 売れなければお金になりません。 しかし企業は銀行にお金を返す必要があります。さあ、どうしましょう?
第2次産業革命を迎えた国では重化学工業が発展しましたが、国内で売れる量には限界がありました。そこで各国は 植民地を求めて海外へ進出していったのです。 これが帝国主義の時代の始まりでした。
各国は次の3つを求めて植民地に進出しました。1つ目は 物を売る場所(市場)の確保 。2つ目は 工業生産に必要な原材料の供給 。3つ目は 資本輸出 でした。
お金を貸したり投資したりすることで国外にお金を持ち出すことを 資本輸出 といいます。欧米列強は植民地に工場を建設して、現地の安い労働力を使った安価な商品生産を行おうと考えました。
第1回「イギリスの動向」
第1回の授業では イギリスの動向 に注目します。世界で最初に産業革命を迎え、世界最大の工業国として君臨していたイギリスでしたが、その後伸び悩んでアメリカやドイツに追い抜かれることになりました。いったいイギリスでは何が起こっていたのでしょうか?
第2回「フランスの動向」
第2回の授業では フランスの動向 に注目します。19世紀後半のフランスは、ある政治体制のもとで国内が混乱状態となっていました。その「混乱」について学習します。
第3回「ドイツの動向」
第3回の授業では、イギリスを抜いて世界第2位の工業国となった ドイツ に注目します。工業発展を遂げたドイツで見られた新たな政策や、ドイツで発生した 労働運動 を扱います。
第4回「ロシアの動向」
第4回の授業では、冒頭で紹介したグラフにはのっていない国について勉強します。 ロシア です。ロシアはヨーロッパやアメリカの中では遅れて産業革命を迎えたため、他国においつこうと 急激な近代化政策 を進めました。その結果生じてしまった 国内問題 にも注目してください。
第5回「アメリカの動向」
第5回の授業では、世界第1位の工業国となった アメリカ に注目します。当時のアメリカが進めた カリブ海政策 と呼ばれる新たな政策を紹介します。
以上、計5回の授業で帝国主義の時代について勉強していきます。
第31章「帝国主義の時代」のガイダンス授業です。
この章では合計5回の授業で 帝国主義の時代 について勉強していきます。