ポイントの２つ目は「東南アジアの民族運動」です。
第一次世界大戦終結後に 東南アジア 各地で発生した民族運動を紹介します。まずはビルマ（ミャンマー）から。

当時のビルマは イギリス領インド帝国 に編入されていました。つまりイギリスに支配されていたということです。

ビルマでは1920年代から民族運動が始まり、即時完全独立を要求する タキン党 が活躍しました。タキン党の指導者はアウン＝サンという人物です。

彼は1947年に暗殺されてしまいましたが、民族運動を指導した英雄として、現在でもミャンマーの人びとから尊敬を集めています。

ちなみに、アウン＝サンの長女であるアウン＝サン＝スー＝チーは、第二次世界大戦後の軍部独裁が続くミャンマーで民主化運動を指導し、1991年に ノーベル平和賞 を受賞しました。

当時のインドネシアは オランダ領東インド に編入されていました。つまりオランダに支配されていたのです。

インドネシアでは1920年に インドネシア共産党 が結成され、その後1927年に インドネシア国民党 が結成されました。

ちなみにインドネシア共産党は アジアで最初に結成された共産党 です。ロシア革命の影響を受け、共産主義社会を実現するために結成されました。

また、インドネシア国民党の指導者を スカルノ といいます。余談ですが、彼の奥さんは日本で芸能活動をされています。

続いてはインドシナです。インドネシアと名前が似ているので注意してくださいね。インドシナは現在の ベトナム・カンボジア・ラオス にあたる地域で、当時は フランス領インドシナ としてフランスによる支配を受けていました。

インドシナでは1925年に ベトナム青年革命同志会 が結成され、それを母体として1930年に ベトナム共産党 が結成されました。

ベトナム青年革命同志会を立ち上げた人物で、インドシナ民族運動の指導者を ホー＝チ＝ミン といいます。

このように、東南アジア諸国では独立を目指す組織が結成され、時に激しい弾圧を受けながらも独立運動・民族運動を展開しました。これに対し、 フィリピン で見られた民族運動は少し特殊でした。

フィリピンはもともと スペイン領 でしたが、1898年の 米西戦争 の結果 アメリカ に支配されるようになりました。

その後1934年、アメリカ大統領フランクリン＝ローズヴェルトは、独立運動の高まりを受けて フィリピン独立の約束 を行いました。これに基づき、翌年に フィリピン独立準備政府 が発足したのです。

こうして、フィリピンは比較的おだやかに独立を達成することができました。独立運動やそれに対する弾圧ともに、それほど激しい動きは見られなかったのです。東南アジアの中では少し特殊な例です。