5分でわかる!イギリスは自由貿易路線を止める!?
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この動画の要点まとめ
ポイント
ポイントの1つ目は「イギリスの恐慌対策」です。
1929年にアメリカで始まった恐慌は、イギリス・フランスにも広がりました。
ポイント1では、イギリスがどのように恐慌に対応したのかを学習します。
労働党内閣の発足
前回の授業では世界恐慌の発生について学習しました。アメリカで発生した経済不況が世界に広がっていった、というお話でしたね。
経済不況は、今回学習するイギリスにも広がりました。有名企業が次々と倒産し、失業者は増加する一方だったのです。
これに対処したのが、1929年に成立した 第2次マクドナルド内閣 です。マクドナルドは、社会主義政党である 労働党 に所属する人物。国民は、マクドナルドに労働者や失業者の救済を期待しました。
マクドナルドの大胆な決断!その結果は・・・?
ここでマクドナルドは、とても思い切った決断をしました。 失業保険の削減 を決定したのです。
失業保険とは、仕事をなくした人に対し、次の仕事が見つかるまで政府が資金援助を行う制度です。これ自体は素晴らしい制度なのですが、当時は失業者があまりにも多く、政府が負担する失業保険金が膨張し続けていました。マクドナルドは、国の財政を立て直すため、失業保険を削減しようとしたのです。
マクドナルドの案は、労働党の支持基盤である労働者たちの猛反発を受けました。結局、第2次マクドナルド内閣は労働党の反対で総辞職に追い込まれ、マクドナルドは労働党を除名されてしまったのです。
金本位制の停止
第2次マクドナルド内閣は崩壊しましたが、その後すぐに マクドナルド挙国一致内閣 が成立しました。これは自由党と保守党の連立政権。マクドナルドはその政策を評価され、首相として迎えられたのです。再び首相となったマクドナルドは、金が国外へ流出するのを防ぐために 金本位制を停止 しました。
みなさんが普段使っている紙幣(千円札や一万円札)を思い浮かべてください。紙幣は、それ自体はただの「紙」ですよね。しかし、私たちはただの「紙」に千円や一万円の価値を認め、買い物などで使っています。
金本位制とは、紙幣を金(きん)と交換可能とすることで、その価値を保証する仕組みです。銀行に紙幣をもっていけば、金と交換してもらうことができるのです。イギリスは19世紀の初頭から、金本位制を採用していました。
しかし、ここで問題があります。当時、イギリスは自由貿易を推進していたため、自国通貨のポンドは世界各地に出回っていました。もし、国外にあるポンドを一斉に金に交換されたら...?イギリス国内の金はなくなり、紙幣の発行もできなくなります。
そこでマクドナルドは金とポンドの交換を停止し、金が国外へ流出するのを防ごうとしたのです。これを 金本位制の停止 といいます。
ブロック経済の採用
1932年、カナダのオタワで オタワ連邦会議(イギリス連邦経済会議) が開催されました。この会議の中でイギリスは、世界恐慌への対策として、イギリス本国・自治領・植民地の間でのみ貿易を行うことを決定しました。
本国と植民地の間でのみ貿易を行うような、排他的な貿易政策のことを ブロック経済 といいます。特に、イギリスの採った政策を スターリング=ブロック(ポンド=ブロック) と呼びます。
世界恐慌とファシズム諸国の侵略、第2回。
今回は「イギリス・フランスの対応」について学習します。