米ソ冷戦の時代、第2回。
今回は「冷戦の始まり」について学習します。

ポイントの1つ目は「アメリカの封じ込め政策」です。
前回の授業では、ソ連が東欧で社会主義勢力を拡大していく様子を勉強しましたね。今回の授業では、ソ連中心の社会主義と、アメリカ中心の資本主義が対立を深める様子を勉強します。

これから資本主義陣営と社会主義陣営の対立を見ていくにあたって、まずはそれぞれの特徴を説明します。

資本主義陣営の国々は、経済的には資本主義を、政治的には民主主義をとっています。その中心国はアメリカです。

一方、社会主義陣営の国々では共産党が独裁体制をとり、国家によって経済活動が管理されます（計画経済）。その中心国はソ連です。

ソ連が東欧で社会主義勢力を拡大するなか、アメリカのトルーマン大統領は1947年に トルーマン＝ドクトリン（トルーマン宣言） を発表しました。彼は社会主義勢力に対する「封じ込め政策」を世界に示したのです。

アメリカはギリシアとトルコを援助し、両国の共産主義化を阻止することを表明しました。どうしてギリシアとトルコなのかというと、両国の地理的な位置が重要だからです。

ギリシアとトルコは、ヨーロッパ・アジア・アフリカの境界に位置します。もし両国が共産主義化してしまったら アジアやアフリカにも共産主義の波が広がってしまう。 これをアメリカは警戒したわけです。

アメリカの国務長官マーシャルはマーシャル＝プラン（ヨーロッパ経済復興援助計画）を発表。全ヨーロッパを対象とした経済援助を表明しました。各国の経済を安定させることで、社会主義革命の発生を予防しようという狙いがありました。

アメリカの動きに対し、ソ連を中心とする社会主義陣営はコミンフォルム（共産党情報局）を結成しました。これは、各国の共産党が集まって情報交換を行うための組織です。また、リーダーであるソ連が各国の共産党に指示を出すための組織でもありました。

ただし、コミンフォルムに参加した国の中で、ソ連の言うことを聞かない国がありました。ティトー率いるユーゴスラヴィアです。

前回の授業でもお話しましたが、第二次世界大戦においてユーゴスラヴィアはナチス＝ドイツ軍を自力で排除しました。だからこそユーゴスラヴィアはソ連の言いなりにはならず、ティトーのもとで独自路線の外交が行われました。

ティトーの方針はソ連と対立し、ユーゴスラヴィアはコミンフォルムから除名されました。

以上、資本主義陣営と社会主義陣営の対立を説明しました。アメリカがマーシャル＝プランを発表すると、ソ連が対抗してコミンフォルムを結成。両陣営の対立は、この後も激しさを増していくことになります。