続いて、儒学の一派、古学について見ていきましょう。

朱子学は朱熹が南宋の時代に創始した学派、陽明学は王陽明が明の時代に創始した学派です。
これに対し、古学は、儒学の基礎である孔子や孟子の古典に立ち戻る事を志向したものです。

この古学は、さらに細かく、聖学・堀川学派・古文辞学派と３つに分類されます。

山鹿素行は、古学の一派である聖学を興し、 『聖教要録』 を著して、朱子学を批判しました。
『聖教要録』は、孔子や孟子という聖人の教えを記録したものという意味で、この題名になっています。

伊藤仁斎は、古学を学ぶ古義堂を京都の堀川に開きました。
このことから、伊藤仁斎の創始した学派は、堀川学派、あるいは古義学派と呼ばれます。

堀川学派は、伊藤仁斎の息子、伊藤東涯に継承され、世に広められました。

荻生徂徠(おぎゅうそらい)は、江戸に蘐園塾(けんえんじゅく)を開き、古文辞学派（別名・蘐園学派）を創始しました。
荻生徂徠は、徳川綱吉や徳川吉宗にも信任され、吉宗に 『政談』 という幕政改革論も献上しています。

古文辞学派では、荻生徂徠の弟子である太宰春台も活躍しています。
太宰春台は、幕藩体制の改善策である 『経済録』 を著しました。

荻生徂徠や太宰春台の漢字には注意しましょう。
特に、 「太宰春台」 の「太」は、間違えやすいところです。古代の九州に置かれた役所、 「大宰府」 の「大」とは異なる漢字ですからチェックしておきましょう。