5分でわかる!歴史的かなづかいの読み方
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この動画の要点まとめ
ポイント
はじめまして、古文を担当する黒須 宣行(くろす のぶゆき)です。これから一緒に古文を勉強していきましょう。
古文の五十音図|ヤ行とワ行に要注意
まずは 五十音図 について学習します。皆さんは小学生のときに ひらがなやカタカナの表 を見ませんでしたか?あれが五十音図です。
ただし、小学生のときに習った五十音図と、古文の学習で使う五十音図には ある違い があります。その違いとはいったい何でしょうか?こちらを見てください。
まずは ヤ行 に注目してください。小学生のときは「や・ゆ・よ」と習いましたよね。一方、古文では「や・い・ゆ・え・よ」となります。
続いて ワ行 に注目してください。小学生のときは「わ・を・ん」と習いましたよね。一方、古文では「わ・ゐ・う・ゑ・を」となります。
ゐ と ゑ の2文字については、初めて見る方もいるかもしれません。書き方のアドバイスを少し。「ゐ」は左の部分を膨らませて書くようにしましょう。「ゑ」は「る」の下に山を2つ作るイメージです。自分で書けるように練習してくださいね。
また、五十音図の縦のラインを 行 、横のラインを 段 と言います。例えば「き」は カ行 で イ段 です。
以上、古文の五十音図について学習しました。ポイントは、ヤ行に「 い・え 」が、ワ行に「 ゐ・う・ゑ 」が入ること。特徴的な「 ゐ・ゑ 」の書き方。そして 行 と 段 という言葉の意味です。しっかりおさえておきましょう。
古文特有の読み方が5パターンある
つづいて 現代かなづかい と 歴史的かなづかい について学習します。
皆さんが小学生の時に習ったひらがなの表は、すべて現代かなづかいで書かれています。現代かなづかいは 原則として現代の発音に基づきます。
一方の 歴史的かなづかい は、古文で登場するかなづかいで 平安時代中期ごろの発音に基づいています。
それではここから、歴史的かなづかいの読み方を練習していきましょう。歴史的かなづかいに基づいた文は、現代の文と読み方が異なります。注意すべきパターンを、全部で5つ紹介しますよ。順に見ていきましょう。
歴史的かなづかいの「は行」は「 わ行 」で読みます。語頭の場合は例外 なのですが、これについては後で説明しますね。まずは「は・ひ・ふ・へ・ほ」を「 わ・い・う・え・お 」と発音する、というポイントをおさえてください。
例を見ていきましょう。古文の「いはひ(祝)」は「 いわい 」と読みます。「いへ(家)」は「 いえ 」と読みます。現代かなづかいの読み方を書け、という問題があったら、それぞれ「いわい」「いえ」と書いてくださいね。
最後に例外を紹介します。「はな(花)」はの読み方は「わな」ではなく「 はな 」です。このように、語頭の「は行」はそのまま「は・ひ・ふ・へ・ほ」と発音するので注意してください。
つづいては母音(あ・い・う・え・お)が重なる場合です。歴史的かなづかいで「あう」と書いてあったら「 おー 」と読みます。同様に、
「いう」だったら「 ゆー 」
「えう」だったら「 よー 」
「おう」だったら「 おー 」
と読みます。
ローマ字で表記すると
「au」が「o」
「iu」が「yu」
「eu」が「yo」
「ou」が「o」
となります。
例を見ましょう。「あうむ(鸚鵡)」は「あう」の部分のが「おー」なので、現代かなづかいでは「 おうむ 」となります。「おーむ」ではなく「おうむ」と書くことに注意してください。「いうなり(優なり)」は「いう」の部分が「ゆー」なので、
現代かなづかいは「 ゆうなり 」となります。
「えうじ(要事)」は「えう」を「よー」と読むので「 ようじ 」、「おうな(嫗)」は「おう」を「 おー 」と読むので「 おうな 」になります。ちなみに「おうな(嫗)」とは老婆、おばあさんという意味です。
つづいて「てふ」「けふ」などの読み方です。これは、ここまで紹介した2つのパターンの組み合わせです。少しおさらいすると、パターン1は「はひふへほ」を「わいうえお」と読む。パターン2は母音が重なる場合は特殊な読み方をする。この2つを頭に入れて解説を聞いてください。
まずは「てふ(蝶)」の読み方について。「てふてふ」と書いて「蝶々(ちょうちょう)」と読む、と聞いたことがある方もいるかもしれません。それは歴史的かなづかいの「てふ」から来ているんです。
歴史的かなづかいでは、「は行」は「 わ行 」で読みます。そこで、「てふ」はまず「 てう 」と読めますね。
「てう」をローマ字で書くと「teu」、「eu」ができるから、発音は「tyō」で「ちょー」となります。
でも書くときは「ちょう」と書いてください。
つぎに「けふ(今日)」の読み方について。「てふ」の場合と同じように、「けふ」は「は行」が「 わ行 」になるので「 けう 」と読めます。
「けう」をローマ字で書くと「keu」、「eu」ができるから、発音は「kyō」で「きょー」となります。
ただし書くときは「きょう」と書くので、注意してください。
つづいて「ゐ・ゑ・を」の読み方です。
ワ行の「ゐ・ゑ・を」は「い・え・お」と読みます。簡単ですね。
例を見ましょう。
「ゐる(居る)」は「いる」
「こゑ(声)」は「こえ」
「をり(折)」は「おり」
になります。
つづいて「む」の読み方です。
「む」は「ん」と読みます。これも簡単ですね。
例を見ましょう。
「ひむがし(東)」は「ひんがし」
「行くらむ」は「行くらん」
になります。
以上、歴史的かなづかいの読み方について、5つのポイントを紹介しました。しっかりおさえておきましょう。
高校古文1章「古典文法入門」。今回は「歴史的かなづかいと読み方」について学習します。