5分で解ける!基本の語順に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
漢文の語順は 「主語→述語→目的語」 でしたね。このポイントをふまえて問題を見てみましょう。
まずは文を上から読んで、語順を確かめましょう。
最初の「陳康粛公」は、注釈を読むと人の名前だとわかりますね。 主語 だと判断しましょう。
次の「善」はどうでしょう?注釈には「得意である」とあります。つまり「善」は 述語 です。
ちなみに、もしここで「善」が述語だとわからなくても大丈夫。この後の「射」を見れば判断できます。
「射」は注釈によると「弓矢(の腕前)」という意味です。ここで授業で紹介した 2つ目のポイント を使います。目的語につける送り仮名は 「ヲ」「ニ」「ト」 の3つでした。「射」には 送り仮名「ヲ」 がついていますね。つまり「射」は 目的語 だと考えられます。
あとは 「主語→述語→目的語」 の語順に従うと、目的語の上にある「善」が 述語 だとわかります。答えるのは目的語なので 正解は「射」 となります。
送り仮名の 「ヲ」「ニ」「ト」 そして 「主語→述語→目的語」の語順 をしっかり押さえましょう。
ちなみに、書き下し文は「陳康粛公射を善くす。」意味は、「陳康粛公は弓矢(の腕前)が得意だった。」となります。
練習①、理解できたでしょうか。続けて練習②に行ってみましょう!今度は文の 述語 となっている漢字を抜き出す問題です。
まずは上から読んでみましょう。三文字目「乃」は 「すなわち」 と読みます。次の「教」は二点(二)がついていますね。返り点は次の授業で学習しますが、ここでは二点がついた漢字「教」を読み飛ばし、一点(一)がついた漢字「法」が出てきた後に「教」に戻って読みましょう。書き下すと「項梁乃ち籍に兵法を教ふ。」となります。
それでは、述語はどれでしょうか?ここで、漢文の語順をもう一度確認しましょう。 「主語→述語→目的語」 でしたね。これをふまえて文を上から見てみましょう。
「項梁」は人の名前なので 主語 ですね。では「乃」は何にあたるでしょうか?「乃」の意味は 「そこで」 。主語でも述語でも、目的語でもありません。これは 接続語 です。この問題では「『乃』が接続語だ」とわからなくても大丈夫。「主語でも述語でも目的語でもないな」と判断できればOKです。
四文字目「教」は「おしう」と読みます。漢字の通り「教える」という意味です。では「教」が述語でしょうか?念のために、残りの漢字も読んで確認しましょう。
五文字目「籍」は注釈によると人の名前です。「人の名前ということは主語?」と思うかもしれませんが 送り仮名「ニ」がついている ことに注目してください。ポイントを思い出しましょう。 「ヲ」「ニ」「ト」がついている言葉は目的語 でしたよね。もし、下の「兵法」がなくて、ここで文が終わっていたら?その時は「ニ」のついている「籍」が 目的語 で、その上の「教」が 述語 になります。
最後まで読んでみましょう。「兵法」には 送り仮名「ヲ」 がついていますね。 「ヲ」「ニ」「ト」がついている言葉は目的語 なので、「兵法」も 目的語 。つまりこの文章には 「籍」「兵法」という2つの目的語 があり、その上にある「教」が 述語 ということになります。よって 正解は「教」 です。
この問題では、漢文の基本の語順「主語→述語→目的語」に「乃」という 接続語 が入り込んでいました。また「籍」「兵法」という 2つの目的語 があったので、少し難しいと感じたかもしれません。基本と違う語順に対して 「何かある」と疑う ことができたでしょうか?
ちなみに、意味は「項梁はそこで籍に兵法を教えた。」となります。「兵法」とは、いくさの戦い方のことです。
今回のまとめ
最後に、3つのポイントをもう一度おさらいしましょう。1つ目は 「漢文は日本語と語順が違う」 。日本語は「主語→目的語→述語」ですが、漢文は 「主語→述語→目的語」 です。述語と目的語が逆。これが漢文の基本の語順でした。
2つ目は 「目的語につける送り仮名は3種類」 でした。 「ヲ」「ニ」「ト」 の3つに注目しましょう。
3つ目は 「基本の語順と違っていたら疑え」 でした。基本の語順と違う文章を見つけたら 「何かが省略されている?」「主語・述語・目的語以外の言葉が入っている?」 などの可能性を考えてみましょう。
以上、3つのポイントを押さえられましたか?これであなたも 漢文マスターへの第一歩 を踏み出しました!
さて、本来語順の違う漢文を、日本人はどうやって順序を変えて、日本語として読めるようにしたのでしょうか?今回の問題でも少しふれた 「返り点」 というシステムを、次回は学んでいきます。
練習の1問目。文の 目的語 となっている漢字を抜き出しましょう。