5分で解ける!返り点の基本法則に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
まずは文を 上から 見て 返り点がついていない字 を優先して読んでいきます。一文字目「後(のち)」という字には返り点がついていませんね。 最初に読む字は「後」 です。次の「遂(ついに)」という字、これも返り点がありません。 2番目は「遂」 です。このように、基本的には 上から順番に 読んでいきましょう。
三文字目の「無(なし)」には 二点 がついているので、まだ読みません。ここで注意点があります。 「二点だから一点に飛ぼう!」と考えてはいけません。 二点が付いた字は後回しにして、下に向かって読み進めましょう。
四文字目は「問(とう)」。 レ点 がついています。レ点は下から上に1文字返るときにつける返り点です。次の「津(つ)」には返り点がありませんので、この 「津」が3番目 です。そして、レ点にしたがって1文字上の「問」に返ります。 4番目は「問」 です。
「問」の上にはレ点がないので 上には返れません。 下に向かって読んでいきましょう。「津」の下は「者(もの)」です。 一点 がついているので「問」を読んだ後に 二点に返ります。 1文字返るときはレ点ですが、それ以上返るときには一二点を使います。つまり 5番目は「者」 です。二点がついているのは「無」でしたね。最後の 6番目は「無」 です。
正しく読むと「後遂に津を問ふ者無し。」となります。正解できましたか?それでは、もう一問解いてみましょう。
上から見ていきましょう。一番上の「念」には返り点がついていません。よって 「念」が1番目 です。次の字は「莫(なし)」ですが 下点 がついているのでまだ読みません。ここで 下点から上点に飛ばないように してくださいね。
三文字目「可(べし)」には レ点 が。レ点は下から上に向かって読む返り点なので「可」は後回しにしましょう。四文字目は「使(しむ)」。これも レ点 があるのでまだ読みません。五文字目の「用(もちう)」には 二点 がついています。これもまだ読みません。ここで 二点から一点に飛ばないように 気をつけて!下に向かっていきましょう。
六文字目の「於」という字には返り点がついていませんね。「於」が2番目、といきたいところですが・・・注釈を見てください。「於」は 「置き字と呼ばれる、順序をつけない漢字」 とあります。「置き字」は置いてあるだけの字なので 読まないで飛ばしてください。 「於」を2番目としたいところですが順序はつけません。
七文字目の「秦」には 一点 がついています。この 「秦」が2番目に読む字 です。そして 一点の字を読んだら、二点の字に返ります。 二点がついている 「用」が3番目 です。「秦」から「用」までは2文字離れているため、レ点ではなく一二点が使われています。
「用」から下に読んでいきたいところですが、「用」の上には レ点 が。下から上に1文字返るので、次の 「使」が4番目 です。 その上にもレ点がある ので、さらに1文字返って 「可」が5番目に読む字 です。
「可」の上には下点がありますが、レ点ではないので、これ以上は上に返れません。 下に向かって 読んでいきます。残っているのは 上点 がついた「者」という字ですね。この 「者」が6番目に読む字 です。そして 上点がついている字は読んだら下点に飛びます。 すでに一二点が使われているので、一二点を挟んで返るときは混同しないように上下点を使うんでしたね。下点がついている 「莫」が7番目の字 でした。
正しく読むと「念ふに秦に用ひしむべき者莫し。」となります。「使」や「可」は助動詞なのでひらがなで書き下します(詳しくは漢文の基本④で)。今は順番がわかれば大丈夫ですよ!
それでは、最後の問題を解いてみましょう。これも読む順番に数字を入れていく問題です。
上から読んでいきます。まず「何」という字、こちらは 返り点がついていません。 なので 「何」が最初に読む字 です。次は「不(ず)」。これは 下点 がありますので、飛ばしましょう。次の「随(したがう)」には 二点 がついているので、これもまだ読みません。次の「其(その)」には 返り点がついていません ね。 2番目に読むのは「其」 です。
下に向かって読んでいきます。五文字目の「流(ながれ)」には 一点 が。まずは「流」を読み、一二点の法則にしたがって二点のついた「随」に飛びましょう。 3番目は「流」で、4番目は「随」 です。
「随」の上には レ点がない ので 下に向かって 読んでいきましょう。次は「而」。返り点がついていないので、これを5番目としたいところですが・・・注釈を見てください。「而」は 「置き字」 です。置いてあるだけの字なので 順序を付けずに飛ばして しまいましょう。
七文字目「揚(あぐ)」には 中点 が。上下点のルールは 「上点→中点→下点」 の順。下点の字を読んでから中点の字に返らなければならないので、まだ読みません。下に向かって読みましょう。
八文字目「其」。何もついていませんね。この 「其」が5番目 です。
さらに下に行きましょう。「波」には 上点 がついています。まずは上点のついた 「波」を6番目 に読みましょう。中点が無い場合は「上点→下点」の順に読みますが、この文では上下点のあいだにもう一つ返る漢字があるため、中点が使われています。つまり、中点のついた 「揚」が7番目 、下点のついた 「不」が8番目 です。
正しく読むと「何ぞ其の流れに随ひて其の波を揚げざる。」となります。「不」は助動詞なので「ざる」と平仮名で書き下しています。
この文では 中点 が出てきましたね。正解できなかった人、知らない返り点に混乱してしまった人は、しっかり復習してから次の授業に進みましょう!
「送り仮名」& 今回のまとめ
今回の授業では返り点の基本法則を学びました。
①1文字返るときはレ点
②それ以上返るときは一二点
③一二点を挟んでさらに返るときは上下点
この3つのポイントに注意しましょう。
さて、前回は「主語→述語→目的語」の語順。今回は返り点と、漢文の基本がかなり身についてきたと思います。では、次の文章を見てください。
一二点は学習したので読む順はわかりますね。「君→事→思」。 「きみ、こと、おもう。」 これ、日本語としてはちょっと変だと思いませんか?何かが足りない気がします。
そこで、昔の日本人は「足りないなら付け足しちゃおう!」と考えました。下の文を見てください。
さきほどの文と比べてみましょう。漢字の右下に 送り仮名 がついたのがわかりますか?これで 「君の事を思ふ。」 と読むことができます。先生も君たちのことを思いながら授業をしていますよ。みなさんにぜひ漢文ができるようになってほしいと思っています!
それはともかく、ここで「送り仮名」について 2つのポイント を説明します。
1つ目のポイントは 基本的に漢字の右下にカタカナで書く! です。上の文でも右下に書いていますね。後の授業で習う 「再読文字」 だけは左下にも書くことがありますが、基本的には漢字の 右下 に、 カタカナ で書きましょう。
2つ目のポイントは 歴史的仮名遣いで書く! です。上の文でも、「思う」の送り仮名は 「ウ」ではなく「フ」 になっていますね。 歴史的仮名遣い で書くことを忘れないでください。
今回までの授業で、漢文の構造や、返り点を学びました。漢文の基礎固めは順調です!しかし、実は返り点には、基本法則と違う 皆さんが間違えやすいもの があります。次回はそのような 「間違えやすい返り点」 を学んでいきます。今回学んだ返り点の基本法則はしっかり覚えて、ちょっと頭を使う次回の返り点に備えてください!
練習①。それぞれの漢字の横に、読む順序を数字で書き入れましょう。