5分でわかる!再読文字 「当・応」
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この動画の要点まとめ
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漢文では、ふつう漢字は1回しか読みません。ですが、漢字の中には 2回読む ものがあります。これを「再び読む文字」と書いて 「再読文字」 と呼びます。
前回と前々回の授業で「未」「将」「且」の3つの再読文字を学びました。今回は 「当」「応」 について学んでいきましょう。
再読文字「当・応」
自分の考えに自信があるとき「当然~すべきだ」「きっと~に違いない」という言い方をすることがありますよね。これを表すのが、今回学習する 「当」 という字と 「応」 という字です。
「当」「応」の読み方は 「まさニ~べシ」 。まず、1回目は 返り点を無視して「まさニ」 と読みます。2回目は返り点の通り 返ってきてから 助動詞として 「べシ」 と読みます。
意味は 「当然~すべきだ」「きっと~に違いない」 。自信をもって強く言いたいときに使う表現です。「きっと~だろう」のように、予測のように訳すこともできます。
もう一度言いますが、読み方は 「まさに~べし」 。意味は 「当然~すべきだ」「きっと~に違いない」 です。ここまで理解できたでしょうか?それでは、今回のキーフレーズを見てみましょう。
ポイントとなるのは 「当」 です。読み方は 「まさに~べし」 でしたね。「当」の1回目は、右側で 返らずに「まさに」 と読みます。そして、2回目は左側で 返り点にしたがって「べし」 と読みます。
意味は 「当然~すべきだ」「きっと~に違いない」 でしたね。キーフレーズの文も、強い自信をもって述べられているのだとわかります。
書き下し文を書いてみましょう。まず1回目の「当」を読みます。次はレ点があるので「石→枕」の順ですね。次の「漱」は「すすぐ」や「くちすすぐ」と読みます。 一レ点 がついていますね。レ点を優先して、まずは1字返りましょう。「流→漱」の順で読みます。
最後に一点から二点に返って、2回目の「当」を読んで終わりです。書き下し文は 「当に石に枕し流れに漱がんとすべし。」 となります。2回目の「べし」は ひらがなで書く のを忘れないように。漢字で「当し」と書いてしまうと間違いですよ!
訳は 「当然石の枕で寝て、流れる川で口をすすぐべきだ。」 この言葉は、ある人が田舎に隠居することを決意するときに言おうとした言葉です。「石の枕で寝て、流れる川で口をすすぐ」というのは、世間から離れて生活することを表します。ところが、この人は言い間違えて「枕石漱流」とするべきところを 「漱石枕流」 としてしまいました。これでは「石で口をすすぐ」「流れる川を枕にして寝る」という意味になってしまいます。
当然、聞いていた人に「間違ってるんじゃないの?」と指摘されました。誰にでも間違いはあるので、その場で訂正すればよいことです。しかし、この人は強情で、言い逃れをしようとしました。「石で口をすすぐというのは、石で歯を磨くという意味だ!」「流れる川を枕にして寝るというのは、川の流れで耳を洗うという意味だ!」ちょっと無理がある気もしますが・・・負けず嫌いなのがわかりますね。
ところで、この 「漱石」 という言葉に見覚えがありませんか?実は、有名な小説家である 夏目漱石 というペンネームは、この漢文から取ったと言われています。自分のことを、この人のように強情で負けず嫌いだと思っていたのかもしれませんね。みなさんは、この人のように意地を張らずに、間違いを恐れずにしっかりと認めて、勉強に取り組んでくださいね!
高校漢文2章「再読文字」。今回は「当」「応」について学んでいきましょう。