5分でわかる!再読文字 「宜」
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この動画の要点まとめ
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漢文では、ふつう漢字は1回しか読みません。ですが、漢字の中には 2回読む ものがあります。これを「再び読む文字」と書いて 「再読文字」 と呼びます。
この章では、再読文字を全部で9つ紹介します。ここまで「未」「将」「且」「当」「応」「須」の6つを学びました。今回は「宜」について学んでいきましょう。
再読文字「宜」
日々の中で「おっ、それいいね!」と思うこと、ありますよね。この気持ちを表すのが、今回学習する 「宜」 なんです。POINTを見てみましょう。
「宜」の読み方は 「よろシク~べシ」 。再読文字なので2回読みます。
1回目は 返り点を無視して 右側のとおり 「よろシク」 と読みます。送り仮名は「シク」です。
2回目は返り点の通り 返ってきてから 助動詞として 「べシ」 と読みます。2回目の読みは「当」「応」「須」と同じです。
意味は 「~するのがよい」 となります。「~するのが適当だ」と訳すこともあります。「それ、ちょうどいいね!」というときに使う表現なんです。
もう一度確認します。読み方は 「よろしく~べし」 。意味は 「~するのがよい」「~するのが適当だ」 。ここまで理解できたでしょうか?それでは、今回のキーフレーズを見てみましょう。
一文字目から「宜」が登場していますね。「宜」の1回目は、右側で 返らずに「よろしく」 と読みます。2回目は左側で 返り点にしたがって「べし」 と読みます。ここでは「取」から1字返るので レ点 が使われています。
書き下していきましょう。1回目の「宜」を読んだら、次の「取」は二点がついているので飛ばします。「其」の下の「所」には、一点とレ点が両方ついていますね。 一レ点はレ点を優先 して、下の「長」から1字返りましょう。そして一点があるので「所」を読んだら二点の「取」に返ります。そしてレ点で2回目の「宜」に返って、今度は「べし」と読みましょう。書き下し文は 「宜しく其の長ずる所を取るべし。」 となります。
「宜」の意味は 「~するのがよい」 でしたね。訳は 「その長所を取るのがよい。」 となります。
人間、誰にでも長所と短所があります。ですが、意外と長所より短所の方が目に付いてしまうもの。「あの人、嫌だなあ」と思ったら、その人を避けてしまうこともあると思います。でも、長所を見つけてあげると、その人の良さがわかって「この人、こういうところがすばらしいなあ。自分も真似してみようかな」と刺激になります。
キーフレーズの漢文も「人を採用するときには、長所をしっかり見てあげると、人を上手に働かせることができる」ということを述べています。素晴らしい教訓ですね!
再読文字「宜」を学んで、昔の人が「~するのがよい」と言ったことを、読めるようになりましょう。
高校漢文2章「再読文字」。今回は「宜」について学んでいきましょう。