5分でわかる!使役動詞「しム」を使わない使役形
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この動画の要点まとめ
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使役とは 「(誰かに)~させる」 という表現です。前回は 「使」「令」「教」「遣」「俾」 など 「しム」と読む使役動詞の漢字 を使って、使役を表すパターンを学習しました。
今回は 「しム」の漢字を使わないパターン について学習します。
使役を暗示させる漢字「命」
さっそくですが、キーフレーズを見てみましょう。こちらです。
書き下し文は 「故人に命じて之を書かしむ。」 日本語で「故人」というと「亡くなった人」を指しますが、漢文では 「古くからの友人、旧友」 という意味を持ちます。
最初の三文字「故人ニ命ジテ」というところを読むと「友人に何かをさせようとしているな」と想像できませんか?もっと言うと、一文字目の 「命」 、命令の「命」という字を見ると、誰かに何かをさせようとしているな、と想像できます。
訳を見ると「古くからの友人に 命令して これを 書かせた 。」となっています。想像した通りの内容ですね。
実は、この「命」という漢字が重要なポイント。こちらを見てください。
キーフレーズで登場した「命」だけではなく 「招」「遣」「召」「教」 などは 使役を暗示させる漢字 です。「命(めいジテ)」なら 「命令して何かををさせる」 ことを、「招(まねキテ)」なら 「誰かを招いて何かをさせる」 ことを暗示させます。
「遣(つかハシテ)」なら 「誰かを派遣して何かをさせる」 。「召(めシテ)」なら 「誰かを呼んできて何かをさせる」 。「教(おしエテ)」なら 「誰かに教えて何かをさせる」 。以上の5つは、代表的な「使役を暗示させる漢字」です。
「A」の送り仮名については、「命」などの下にくる場合は「ニ」ですが、「招」などの下にくる場合は「ヲ」となります。「~ を 招く」とした方が自然ですからね。このように、上にくる漢字によって「A」の送り仮名を判断してください。
「B」の送り仮名については 「シム」 を付けましょう。前回は「使」など「しム」と読む漢字がありましたが、今回は「使」などの漢字がない代わりに 送り仮名で「シム」を付けます。 これで使役の表現が完成です。ちなみに、書き下し文を作るときは、「シム」は助動詞なので ひらがな で書くことに注意してください。
意味は 「Aに(を)~してBさせる」 。キーフレーズの文章では「古くからの友人に命令してこれを書かせた」という訳になっていましたね。
使役動詞「しム」の漢字を使わないパターン。次のコーナーで、さらに詳しく学んでいきましょう。
高校漢文3章「使役」。今回は「使役動詞『しム』の漢字を使わないパターン」について学習します。