5分で解ける!使役動詞「しム」を使わない使役形に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
最初の二文字「世宗(せいそう)」は注釈の通り人名です。ちなみに彼は国王の立場にあった偉い人物です。
二点があるので「召」は飛ばして、次の二文字「儒者」を読みます。儒者とは 学者 のこと。注釈にありますね。
ここまでの文章から 「世宗」が「儒者」を 「召して(呼んで)」 という内容が読み取れます。「召」は 使役を暗示させる漢字 だと判断しましょう。
使役を暗示させる漢字「召」の下を見ると「儒者」とあります。これは「Aに(を)~してBしむ」の「A」に当てはまりそうです。送り仮名「ヲ」が付いていることから 「儒者を召して」 と読めますね。
「これだけはおさえよう」のコーナーで説明した通り 「A」の下はすべて「B」 。「儒者」の下の 「読史(史ヲ読マシム)」 が「B」に当たります。ちなみに「史」は注釈の通り「歴史書」という意味です。
「読」という漢字は、普通なら 「読ム」 と送り仮名が付きます。しかし今回は 使役 です。「B」の最後は 「未然形+シム」 でしたね。四段活用動詞「読ム」の未然形は 「読マ」 です。
以上をふまえて、書き下し文と訳を作りましょう。正解はこちら。
続いて練習②。書き下し文と訳を答えましょう。
一文字目の「漢」は「国名」だと注釈にありますね。「前漢」とも呼ばれる、古代中国の王朝です。
上から三・四文字目「蘇武」は人名だと注釈にありますね。二文字目の 「遣」 は 「つかハシテ」 と読みます。「派遣する」という意味です。
「漢が蘇武という人物を派遣する。」ここまで意味をとると これは使役の文章じゃないかな? と想像できませんか?「蘇武という人物を派遣して、何かをさせるんじゃないかな?」こんな風に考えられたらバッチリです!
「遣」は 使役を暗示させる漢字 。そのすぐ下には 「A(主に人物に関係する言葉)」 が来るはず。この場合は「蘇武」が「A」に当たります。注釈に「人名」とあるので、間違いありません!
「これだけはおさえよう」のコーナーで説明した通り 「A」の下はすべて「B」 です。「B」は 「Aに行わせる動作」 でしたね。今回は「使匈奴」が「B」に当たります。
ちなみに「匈奴(きょうど)」は民族の名前。中国から見て北方にいた遊牧民族の名前です。漢(前漢)を昔から脅かしていた民族です。そんな「匈奴」のところへ「蘇武」が 使者として赴いた という文章なんです。注釈から「使」は 「つかヒス」 と読み、意味は 「使者として赴く」 ことだとわかります。
使役の表現で、「B」の最後は 「未然形+シム」 でしたね。「使ヒス」は 「使ヒセ」 となり、「シム」と接続して 「使ヒセシム」 となります。以上をふまえて書き下し文と訳を作りましょう。正解はこちら。
ちなみに「遣」は、前回の授業で紹介した 使役動詞「しム」の5つの漢字 のうちの1つです。ただ、今回は 送り仮名「ハシテ」 と付いているので、「つかハシテ」と読んでいます。
もし送り仮名が付いていなかったら(白文の状態だったら)、「遣」を「しム」と読むことは可能でしょうか?・・・実は 可能 です。こちらを見てください。
使役動詞「遣(しム)」のすぐ下にある、人名を表す「蘇武」が「A」に当たります。送り仮名 「ヲシテ」 が付くんでしたね。
「A」の下はすべて「B」です。「使匈奴」が「B」に当たります。「B」の最後は 未然形 なので「使」には「使ヒ セ 」と送り仮名が付き、最後に「遣」に返って読みます。
以上のように、「遣」は「遣ハシテ」と読む場合もあれば、使役動詞「遣ム」と読む場合もあります。少し発展的な内容ですが、あわせておさえておきましょう。
今回のまとめ
前回と今回の授業で 使役 について学習しました。前回は「遣」「使」など 「しム」の漢字を使うパターン 。今回は使わないパターンを紹介しました。
ちなみに、授業では紹介しませんでしたが、文脈上「使役」であることが明らかな場合は 送り仮名「シム」をつけることで使役を表す 場合もあるんです。頭の片隅に置いておいてくださいね。
練習①。書き下し文と訳を答えましょう。上から順にみていきます。