5分でわかる!抑揚を表す表現
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この動画の要点まとめ
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これまで様々な句形を学んできました。いよいよ、句形の最後の授業です。今回は 抑揚(よくよう) について勉強します。
実は、いま皆さんに漢文を教えている私は、かつては漢文が苦手でした。そんな 私でさえ 出来るんだから 皆さんならなおさら 漢文を得意科目にすることができると思います!
このように 「Aでさえ・・・」 というように前半で調子を抑えて、後半で 「ましてBならなおさらだ」 と調子を揚(あ)げるのが、抑揚の表現です。詳しく学んでいきましょう。
抑揚の形と意味をおさえよう
まずは形から説明します。こちらを見てください。
読み方は 「Aすら(かつ)~。(しかるを)いわんやB(において)をや。」 。カッコの中の「かつ」「しかるを」「において」は省略されることもあります。
「且ツ(かつ)」は 「尚ホ・猶ホ(なほ)」 と置き換えることができます。また、最後の一文字 「乎(や)」 が省略されて「Bヲヤ」「Bニ於イテヲヤ」と 送り仮名で「ヤ」が追加される パターンもあります。
意味は 「Aでさえ~なのだ。ましてBはなおさら~だ。」 となります。キーフレーズで確認してみましょう。
書き下し文は 「死馬すら且つ之を買ふ、況んや生者をや。」 。「Aすら且つ~、況んやBをや」となっていますね。抑揚の表現です。意味は 「死んだ馬でさえ買うのだから、まして生きた馬ならなおさらだ」 。
昔、ある王様が、召使いに大金を渡して、優れた馬を買いに行かせました。すると、その召使いは 死んだ馬の骨 を買って帰ってきたのです。怒る王様に対し、召使いは「死んだ馬でさえ大金を出して買う人がいるなら、生きた馬ならなおさら高値で買ってくれるだろう、と考える人がいるはず。こちらから探しに行かなくても、名馬を売りに来てくれるでしょう」と言ったのです。結果的に、その召使いの言葉通り、王様のもとには駿馬(しゅんめ)と呼ばれる素晴らしい馬が集まってきたそうです。
この話をふまえて、中国の戦国時代の政治家である郭隗(かくかい)は、昭王という王様に対し「まずは身分の低い私から雇ってください。そうすれば、あんな奴ですら採用されるなら、と考えて、優秀な人材が次々と集まってくるでしょう」と申し立てました。
以上、抑揚の表現を紹介しました。この後は、抑揚の表現についておさえておきたいポイントを紹介します。
高校漢文9章「その他の句形」。今回は「抑揚を表す表現」について学習します。