5分でわかる!チラコイドでの反応②③
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この動画の要点まとめ
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チラコイドでの反応①は、光化学反応でした。
光化学反応は、光合成色素が光を吸収し、活性化クロロフィルaができるという反応です。
今回は、チラコイドでの反応②と③を見ていきます。
ちなみに、②は、さらに2つに分かれるので注意が必要です。
光化学系Ⅱで水が分解
図は、前回確認したチラコイドの模式図です。
左下の光合成色素に、光エネルギーがためられている状態です。
活性化した光合成色素へ、チラコイドの外側から12molの水が近づいているのが分かりますか?
水は、水素と酸素で構成されていますね。
活性化された光合成色素は、自身に蓄積されたエネルギーによって、水を水素と酸素に分解します。
これが、チラコイドでの2つ目の反応です。
チラコイドでの2つ目の反応は光化学系といい、ⅠとⅡに分けられます。
チラコイドの外側からやってきた水を、水素と酸素に分解する反応を、光化学系Ⅱといいます。
活性化した光合成色素で水が分解された後の様子に注目してください。
水素イオンはチラコイドの内側へ蓄積され、生じた電子はチラコイド膜を移動していますね。
また、この反応で生じた酸素は、植物の気孔から外へ排出されたり、ミトコンドリアへ移動したりします。
光化学系Ⅱという反応によって、水素イオンがチラコイドの中に蓄積されることが分かりましたね。
すると、ストロマに対してチラコイドの中は、水素イオン濃度が高い状態になります。
光化学系Ⅰで水素イオンがNADP+と結合
図で、チラコイド膜上に水素イオンチャネルがあるのが分かりますか?
チャネルは受動輸送をする膜タンパク質で、濃いほうから薄いほうへと物質を輸送する性質がありましたね。
チラコイド内に蓄積された水素イオンは、水素イオンチャネルを介してストロマへと輸送されます。
ストロマへ輸送された水素イオンは、 NADP+ という物質と結合します。
これが、光化学系Ⅰという反応です。
水素イオンが12NADPと結合すると、 12(NADPH+H+) がつくられます。
NADPは、ストロマにおいて水素イオンを受け取る働きをしているということもできますね。
このように、チラコイドでの2つ目の反応は、ⅠとⅡに分けることができます。
ⅠとⅡという数字が付いていますが、光化学系Ⅱの次に光化学系Ⅰが起こるのです。
光リン酸化でATPが合成
最後に、チラコイドでの3つ目の反応を、見ていきましょう。
次の図を見てください。
チラコイドからストロマへ輸送された水素イオンは、NADP+と結合しました。
水素イオンの輸送には、水素イオンチャネルが使われています。
水素イオンが水素イオンチャネルを通過するときには、エネルギーが生じています。
そして、この水素イオンチャネルはATP合成酵素という酵素で構成されています。
すると、水素イオンが水素イオンチャネルを通過するときのエネルギーによって、ストロマに含まれるADPからATPが合成される反応が起こります。
これが、チラコイドでの3つ目の反応です。
ADPはリン酸化されることによってATPへと変化します。
また、合成されたATPは、ストロマに蓄積されます。
このATP合成は、そもそも光が光合成色素に当たったことが発端となって起こっている反応ですね。
このように、水素イオンがチャネルを通過することでATPが合成されることを、光リン酸化といいます。
チラコイドでの2つ目と3つ目の反応を、整理して覚えましょう。
また、光化学系と光リン酸化で生じた12(NADPH+H+)とATPがストロマに蓄積されましたね。
これらは、この後の光合成の過程に関わる物質です。
しっかりおさえておきましょう。
光合成の反応のうち、葉緑体のチラコイドでの反応について見ていきましょう。