5分でわかる!トリプトファンオペロン
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この動画の要点まとめ
ポイント
通常⇒遺伝子発現が進んでいる
原核生物のもつトリプトファンオペロンは、どのような遺伝子発現調節を行うのでしょうか?
次の図を見てください。
これは、大腸菌のDNAです。
大腸菌のDNAが、図の上部に横に伸びた形で描かれています。
大腸菌DNAの一番右には、トリプトファン合成酵素遺伝子がありますね。
トリプトファンは、特にヒトにとっては重要な必須アミノ酸です。
大腸菌にとってもトリプトファンは重要で、大腸菌は普段トリプトファンを合成し続けています。
DNAの転写を行う酵素は、RNAポリメラーゼでしたね。
また、RNAポリメラーゼがDNAに結合するための足場となるような領域がプロモーターです。
プロモーターへ結合したRNAポリメラーゼがトリプトファン合成酵素遺伝子へ到達することで、トリプトファン合成酵素遺伝子は発現します。
つまり、転写や翻訳といった過程を経ることができるのです。
図では、大腸菌DNAの一番左に調節遺伝子がありますね。
調節遺伝子では、転写と翻訳によってリプレッサーというタンパク質が合成されています。
ラクトースオペロンを思い出してください。
リプレッサーはオペレーターへ結合し、遺伝子発現を妨げるタンパク質として働いていましたね。
しかし、トリプトファンオペロンで合成されるリプレッサーは、形が不完全です。
そのため、オペレーターへ結合することができないことになります。
トリプトファンオペロンでは、RNAポリメラーゼが妨げられることなくトリプトファン合成酵素遺伝子へ到達します。
よって、大腸菌はトリプトファンを合成し続けることができるのです。
トリプトファン摂取⇒遺伝子発現が停止する
このように、大腸菌は常にトリプトファンを合成していました。
それでは、大腸菌のまわりに多量のトリプトファンが存在する場合はどうなるでしょうか?
実は、大腸菌はトリプトファン合成酵素遺伝子の発現を停止するのです。
それでは、どのように遺伝子発現を停止させるのかを見ていきましょう。
大腸菌DNAでは、調節遺伝子からリプレッサーというタンパク質が合成されていましたね。
大腸菌が取り込んだトリプトファンはまず、リプレッサーと結合して複合体を作ります。
通常、リプレッサーは不完全な形をしており、オペレーターへ結合することができませんでした。
そのため、トリプトファン合成酵素遺伝子は、常に発現していましたね。
しかし、リプレッサーがトリプトファンと複合体を作ると、オペレーターへ結合できるようになるのです。
リプレッサーとトリプトファンの複合体がオペレーターへ結合することで、RNAポリメラーゼはプロモーターへ結合することすらできなくなるのです。
すると、トリプトファン合成酵素遺伝子の発現が停止し、大腸菌自身が行うトリプトファンの合成が妨げられるのです。
トリプトファンオペロンは、普段は発現しているトリプトファン合成酵素遺伝子を、状況に応じて停止させているのですね。
原核生物の遺伝子発現調節について見ていきましょう。
今回はオペロン説のうち、トリプトファンオペロンに注目します。