5分で解ける!遺伝(テスト2、第2問)に関する問題
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この動画の問題と解説
問題
解説
リプレッサーがオペレーターへ結合して発現を阻害
次の図を見てください。
これは、ラクトースを摂取していない場合の大腸菌のラクトースオペロンの仕組みを模式的に表したものです。
図では、ラクトースを摂取していないので、ラクトース分解酵素遺伝子は発現していません。
Aで示された遺伝子領域と、BとCで示されたタンパク質について見ていきましょう。
遺伝子領域Aは、プロモーターとラクトース分解酵素遺伝子の間にありますね。
この領域を、オペレーターといいます。
よってAの答えは、エです。
プロモーターは、転写を行うタンパク質Bが結合する場所でした。
オペレーターへタンパク質Cが結合すると、タンパク質Bはプロモーターへ結合できなくなります。
つまり、ラクトース分解酵素遺伝子は発現しなくなるということです。
ラクトース分解酵素遺伝子が発現するか否かを制御する領域ということで、「オペレーター」という名称がついているのですね。
タンパク質Bは、プロモーターへ結合して遺伝子発現を促します。
また、DNAからRNAを作る酵素でもあります。
これは、RNAポリメラーゼですね。
よって答えは、オです。
DNAポリメラーゼは、DNAからDNAを作る酵素です。
DNAの複製にかかわる酵素なので、覚えておきましょう。
タンパク質Cは、調節遺伝子で転写と翻訳を経て合成されています。
また、オペレーターに結合してRNAポリメラーゼによる転写を妨げています。
このタンパク質は、リプレッサーです。
よって答えは、アです。
通常、リプレッサーはオペレーターへ結合してRNAポリメラーゼがプロモーターへ結合するのを妨げています。
大腸菌DNAはラクトース分解酵素遺伝子をもっていますが、普段は発現していないのですね。
ラクトースがリプレッサーと結合して遺伝子発現
大腸菌がラクトースを摂取した場合、ラクトースを分解してグルコースを得る必要があります。
つまり、ラクトース分解酵素遺伝子が発現する必要があるということです。
次の図を見てください。
図は、ラクトース分解酵素遺伝子が停止している状態です。
ラクトース分解酵素遺伝子が発現するにはどうすればよいのでしょう。
そもそも、なぜ普段ラクトース分解酵素遺伝子は停止していたのでしょうか。
図では、ラクトース分解酵素遺伝子の左隣にオペレーターという領域がありました。
オペレーターへリプレッサーというタンパク質が結合することで、RNAポリメラーゼがプロモーターへ結合できず、遺伝子発現が阻害されていました。
つまり、リプレッサーがオペレーターに結合しなければ、ラクトース分解酵素遺伝子は発現するということです。
大腸菌が摂取したラクトースは、リプレッサーと結合して複合体を形成します。
すると、リプレッサーはオペレーターへ結合できなくなるのです。
よって、RNAポリメラーゼはプロモーターへ結合して、転写を行うことができます。
よって答えは、Cです。
オペロン説では、大腸菌のもつ遺伝子の発現調節について提唱されていました。
大腸菌はまわりの環境に応じて、特定の遺伝子を発現させたり停止したりして、遺伝子発現を調節しているということですね。
ラクトースオペロンは、ラクトース分解酵素遺伝子の発現を調節する仕組みです。
大腸菌は、基本的にはグルコースを摂取して生きています。
そのため、普段使うことのないラクトース分解酵素遺伝子の発現を停止する必要がありました。