5分でわかる!DNA解析① PCR法
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この動画の要点まとめ
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DNA解析⇒DNA配列の変異の有無を解析する
DNA解析について、ALDH2遺伝子(アルコール分解酵素遺伝子) を例に見ていきます。
次の図は、2種類のALDH2遺伝子を表したものです。
図では、2種類のALDH2遺伝子があります。
(Ⅰ)欧米人に多く見られるALDH2遺伝子の塩基配列
(Ⅱ)日本人に多く見られるALDH2遺伝子の塩基配列
どちらも、「ALDH2」と書かれた左側に引かれた直線が、DNAの塩基配列を表しています。
(Ⅰ)欧米人に多く見られるALDH2遺伝子は、ある部分の塩基配列がGAAとなっていますね。
これはグルタミン酸を指定する塩基配列です。
この配列は、ALDH2活性型遺伝子ともいわれます。
(Ⅱ)日本人に多く見られるALDH2遺伝子は、(Ⅰ)と少し異なります。
(Ⅰ)ではグルタミン酸を指定していた箇所の塩基配列が、AAAとなっていますね。
先頭のGがAになっています。
これはリシンを指定する塩基配列です。
この配列は(Ⅰ)が変異したもので、ALDH2不活性型遺伝子ともいわれます。
そのため、(Ⅱ)の遺伝子から合成されるタンパク質およびアルコール分解酵素は(Ⅰ)と異なります。
皆さんは、自分がALDH2活性型遺伝子とALDH2不活性型遺伝子のどちらをもっているか分かりますか?
自分がもっている遺伝情報は、目で見て判断することはできないですよね。
それを判断するための方法が、DNA解析なのです。
DNA配列の変異の有無はPCR法の実験結果に影響
PCR法を用いたDNA解析を行い、ALDH2活性型遺伝子とALDH2不活性型遺伝子を判別していきましょう。
まず、(Ⅰ)欧米人に多く見られるALDH2活性型遺伝子をもとに、DNAプライマーを作ります。
図では、GAAを先頭にしてDNAと相補的に結合するDNAプライマーが作成されています。
つまり、CTTから始まる塩基配列をもつDNAプライマーだということです。
DNA解析ではまず、ALDH2活性型遺伝子とALDH2不活性型遺伝子を鋳型のDNAとして、(Ⅰ)の
DNAプライマーを使ってPCR法を行います。
PCR法にはアニーリングという操作があります。
これは、鋳型のDNAにDNAプライマーを結合させる操作でした。
(Ⅰ)の遺伝子に対しては、DNAプライマーは結合します。
一方、(Ⅱ)の遺伝子に対してはDNAプライマーが結合しません。
これは、(Ⅱ)の遺伝子には変異があり、DNAプライマーと相補的に結合できないからです。
PCR法を行った結果、(Ⅰ)の遺伝子は複製に成功し、(Ⅱ)の遺伝子は複製に失敗しました。
2つの遺伝子に変異があるかないかは、PCR法の結果に現れるということです。
最後に、PCR法は試験管の中でDNAを増幅させる方法でした。
そのため、この時点では、PCR法が成功しかたどうかを目で見て判定することはできません。
そこで登場するのが、次に紹介する電気泳動法です。
DNA解析について詳しく見ていきましょう。
DNA解析は、PCR法と電気泳動法を組み合わせて、DNAの塩基配列を調べるバイオテクノロジーでした。
まずは、PCR法に注目しましょう。