5分で解ける!遺伝(テスト3、第2問)に関する問題
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この動画の問題と解説
問題
解説
プラスミド⇒ベクターとして働く小さな環状DNA
図では、ヒトインスリン遺伝子を導入された大腸菌がインスリンを合成しています。
合成されたインスリンを回収し、精製することで、インスリン製剤という医薬品を製造することができました。
ヒトインスリン遺伝子は、もともと大腸菌がもっていない遺伝子です。
これをそのまま大腸菌に導入すると、大腸菌はヒトインスリン遺伝子を排除しようとします。
そこで、ヒトインスリン遺伝子を運搬する乗り物のようなものが必要になります。
図で、大腸菌の中に様々な構造物が描かれています。
これらはすべてDNAです。
大腸菌の中に、小さな環状の構造物が2つ描かれているのが分かりますか?
この環状DNAを、プラスミドといいます。
プラスミドは、ヒトインスリン遺伝子を運搬する乗り物として利用されます。
このように、目的の遺伝子を運搬するものを総称してベクターといいました。
図では、大腸菌から取り出されたプラスミドにヒトインスリン遺伝子が組込まれ、再び大腸菌へ戻されています。
DNAリガーゼ⇒同じ切断面をもつ2つのDNAを結合
プラスミドとヒトインスリン遺伝子は何という酵素によって結合しているのでしょうか。
次の図を見てください。
ヒトインスリン遺伝子は、プラスミドに組込まれてから大腸菌へ導入されます。
そのため、制限酵素という酵素によって、それぞれの一部が切断されていました。
この処理を、制限酵素処理といいましたね。
図の左には、制限酵素処理をされたヒトインスリン遺伝子とプラスミドが描かれています。
これらは、同じ切断面で切断されることが特徴でした。
切断されたヒトインスリン遺伝子とプラスミドは、自動的に結合するわけではありません。
ある酵素によって結合します。
2つのDNAを結合するこの酵素を、DNAリガーゼといいます。
外来の遺伝子が導入されたトランスジェニック生物
次の図では、大腸菌がもともともっていないヒト由来の遺伝子が、人為的に入れられています。
図の大腸菌は、インスリンを合成していました。
この働きは、インスリンを必要とする患者にとっては非常に有用なものです。
このように、外来の遺伝子が導入された生物を総称して、トランスジェニック生物といいます。
ただし、このようなトランスジェニック生物は問題点も抱えています。
例えば、トランスジェニック生物を摂取した場合、体内で毒性のあるものに変化するかもしれません。
また、トランスジェニック生物が自然界に放たれた場合、生態系に悪影響を及ぼす可能性もあります。
次の図を見てください。
これは、大腸菌によって、ヒトのインスリンが合成される様子です。