5分でわかる!多精拒否のメカニズム
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この動画の要点まとめ
ポイント
精子が侵入すると受精波が発生
多精拒否とは、一度にたくさんの精子が卵へ侵入するのを防ぐシステムです。
多精拒否は2つの段階に分けられます。
まずは、1つ目の段階を見ていきましょう。
次の図を見てください。
これは、精子が卵と融合した直後の様子です。
卵は、内側の細胞膜と外側の卵黄膜だけが模式的に描かれています。
細胞膜と卵黄膜をあわせて、卵膜といいました。
図では、ゼリー層を通過した後の1つの精子が卵膜に到達しています。
精子は、卵膜へ到達することによって卵と融合します。
その瞬間、卵の外側にあるナトリウムイオンが精子侵入点から卵の中へ大量に流れ込んでくるのです。
ナトリウムイオンは陽イオンなので、精子侵入点はプラスの電荷を帯びます。
続けて、精子侵入点を起点として、卵の全域へ電流が流れていくのです。
この電流を受精波といいます。
受精波による早い多精拒否は不完全
受精波が卵に流れると、卵と融合した1匹の精子を除いて、卵に近づくすべての精子が運動性を失うことになります。
電流によって、一時的に動けなくなるのです。
これが、1つ目の段階の多精拒否です。
受精波は、精子と卵が融合して1秒以内という速さで起こります。
しかし、受精波によって運動性を失った精子も、しばらくすると運動を再開します。
よって、受精波は多精拒否のメカニズムではありますが、不完全なものです。
表層反応によって受精膜が形成
多精拒否の2つ目の段階を見ていきましょう。
精子と卵が融合すると、表層反応が起こります。
表層反応では、卵の内側にある表層粒という小胞が崩壊し、中に含まれている分解酵素が細胞膜と卵黄膜の間へ分泌されましたね。
次の図を見てください。
これは、表層反応によって卵の細胞膜と卵黄膜が分離した様子です。
図では卵が2つの膜で模式的に描かれています。
内側の膜が細胞膜、外側の膜が卵黄膜です。
卵黄膜が細胞膜から完全に分離されたものは、受精膜とよばれます。
受精膜が形成されると、精子は卵へ到達することが物理的に不可能になります。
受精膜による遅い多精拒否は完全
2つ目の段階の多精拒否は、受精膜による遅い多精拒否です。
受精膜は精子が卵へ到達するのを完全に防ぎます。
受精膜は表層反応によって生じることがポイントです。
多精拒否の2つの段階を、受精のプロセスと関連付けながらおさえましょう。
多精拒否のメカニズムを見ていきましょう。