ウニの発生過程について見ていきましょう。
今回は、胞胚から原腸胚になるまでに注目します。

次の図を見てください。
これはウニの胞胚の断面図です。

胞胚は、細胞のまわりに繊毛が生えることが特徴でした。
繊毛によって、胚は運動性をもち泳ぐことができるようになります。
胞胚の内部にある隙間は、胞胚腔といいましたね。

図では、胚の上側が動物極、下側が植物極です。
胞胚期の発生がさらに進むと、植物極側の細胞の一部が遊離して、胞胚腔の中へ入り込みます。
このように遊離した細胞を、一次間充織といいます。

次に、一次間充織は外側の細胞を胞胚腔へと引き込みます。
次の図を見てください。

図では、胚の植物極側がへこんでいますね。
また、一次間充織が胞胚腔の左右へ移動しています。
このように、一次間充織によって胚の外側の細胞が胞胚腔へ引き込まれることを陥入といいます。

陥入によってできた穴を、原口といいます。
原口は、将来肛門になるところです。

原口ができたことによって胚の植物極側に小さい隙間ができますね。
この隙間を、原腸といいます。
原腸はやがて胚の動物極側へと達し、腸になります。
原腸は、腸の原型というイメージですね。

陥入が起こり原腸ができてからの胚を、原腸胚といいます。
原腸胚期は陥入によって始まることがポイントです。

原腸胚がさらに発生を進めると、どうなるのでしょうか？
次の図を見てください。

図では、原腸の上に一次間充織と似た形をした色の薄い構造体が描かれていますね。
この細胞を、二次間充織といいます。
二次間充織は、原腸の先端から遊離した細胞です。

二次間充織は、原腸の先端を胚の動物極側へと引っ張り、陥入をさらに進めるのです。
陥入の前に胞胚腔へ遊離するのが一次間充織、陥入の後に胞胚腔へ遊離するのが二次間充織ということですね。

二次間充織は原腸をどんどん動物極側へ引っ張ります。
原腸が胚の動物極側に到達すると、将来口になるのです。

陥入が終わると腸が完成し、同時に原腸胚期が終わります。
このとき、胚の細胞や組織を胚葉というかたちで3つに分類することができます。
外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つです。
これらをまとめて三胚葉といいます。
次の図を見てください。

外胚葉は、胚の外層に位置する組織です。

中胚葉は、腔内に遊離した組織です。
図で示されているように、一次間充織と二次間充織に由来する組織のことです。

内胚葉は、原腸をなす組織です。
陥入によって引き込まれ、腸の側壁をなすような組織を指します。

原腸胚期の終わりに、一次間充織は骨片という名前に変わります。
骨片はこのあとの過程で針状になり、ウニのトゲになる部分です。