5分でわかる!原腸胚
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この動画の要点まとめ
ポイント
陥入によって原口背唇部が取り込まれる
カエルの胞胚の発生が進むと、やがて陥入という現象が起こります。
陥入とは、胚の外側の細胞の一部が内側に取り込まれる現象です。
陥入が始まってから完了するまでの胚を、原腸胚といいます。
カエルの胚は、陥入が起こる場所が決まっています。
精子侵入点の180°反対側を陥入点といい、ここから陥入が始まるのです。
次の図を見てください。
これは、原腸胚初期の断面図です。
図では、陥入によって胚の左下に小さなへこみができていますね。
陥入によってあいた穴を原口、原口の奥側にできる空間を原腸といいます。
ウニと同様に、原口は将来、肛門になる部分です。
また、原腸は将来、腸のような消化管になります。
陥入が進むと原腸は胚の内部へと伸びていきます。
次の図は、原腸胚中期の様子を表しています。
確かに、原腸が胚の内部へと入り込んでいますね。
これがさらに進行すると、次のようになります。
原腸胚終期には陥入が終了し、原腸が胚のかなり奥深くへ伸びています。
この時期になると、胚の細胞や組織を胚葉というかたちで3つに分類することができるようになります。
それぞれ、外胚葉、中胚葉、内胚葉といい、これらをまとめて三胚葉といいます。
外胚葉は、胚の外層に位置する組織です。
内胚葉は、胚の内側を占める組織です。
中胚葉のできかたに注目しましょう。
原腸胚初期には、胚の陥入点のやや動物極側に原口背唇部という領域がありました。
陥入が進むと、原口背唇部が原腸とともに胚の内側へ取り込まれていくのです。
原口背唇部に由来する中胚葉は、原腸の側壁をなしています。
陥入によって胚表面の白い部分が取り込まれる
原腸胚の表面はどのように変化するのでしょうか。
次の図を見てください。
これは、原腸胚のそれぞれの時期の胚の表面図です。
原腸胚初期の図に注目してください。
胚の中に黒い点が描かれているのが分かりますか?
これは陥入点です。
カエルの卵にはもともと黒い部分と白い部分がありました。
図の原腸胚にも、黒い部分と白い部分が描かれています。
白い部分には卵黄が多く含まれていましたね。
図で、原腸胚の白い部分の変化に注目してください。
陥入が進むにつれて白い部分の面積が小さくなり、原腸胚終期では胚全体が黒くなっていますね。
なぜ原腸胚終期では、原腸胚の表面に白い部分がなくなってしまうのでしょうか?
実は、陥入が進むにつれて胚表面の白い部分が内側に取り込まれるのです。
白い部分が胚の内側に取り込まれつつ原腸は伸びていくということですね。
原腸胚終期では、胚の表面は真っ黒になります。
そのため、オタマジャクシの体は黒いのです。
原腸胚中期の図に注目してください。
胚表面の白い部分の面積がかなり小さくなっていますね。
このように、黒色の胚に蓋をしているように見えるこの白い部分を卵黄栓といいます。
胚の表面に卵黄栓が観察されるとき、まだ陥入は終わっておらず胚は原腸胚期であると判断できるということですね。
原腸胚の陥入のプロセスでは、原口背唇部が胚の内側に取り込まれました。
このあと原口背唇部は外胚葉に作用し、神経系へと分化させる働きがあります。
そのため、原口背唇部が接している胚の表面領域は、神経へと分化していくことが決まっているため、予定神経域と呼ばれます。
カエルの発生過程について見ていきましょう。
今回は、原腸胚について、初期・中期・終期の3つに分けて考えていきます。