5分でわかる!ショウジョウバエの体軸決定
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この動画の要点まとめ
ポイント
形態形成とは、発生過程で各領域の分化が遺伝子発現によって決定することでした。
形態形成の最初のプロセス体軸決定
形態形成は、いくつかのプロセスに分かれています。
一番最初の段階として、体の前・後ろ、左・右、腹・背というような体の向きが決定される必要があります。
このプロセスのことを、体軸決定といいます。
今回は、ショウジョウバエの前と後ろの方向(前後軸)が決められる様子を見ていきます。
タンパク質の濃度勾配から体軸(前後軸)が決定
次の図を見てください。
これはショウジョウバエの卵母細胞です。
図で、卵母細胞の左右の端がそれぞれ色濃くなっていますね。
これは各mRNAの分布を表しています。
ビコイドmRNAもナノスmRNAも、ともに卵母細胞の端に局在し、卵母細胞の中央部には見られません。
受精が起こると、それぞれの遺伝子が発現し、翻訳によってタンパク質が合成されます。
ビコイドmRNAからはビコイドタンパク質が、ナノスmRNAからはナノスタンパク質が合成されるのです。
図では、各タンパク質の分布が点で描かれています。
少しわかりづらいかもしれませんが、ビコイドタンパク質が左側、ナノスタンパク質が右側に偏って存在しています。
もナノスタンパク質もそれぞれ左側と右側に多く分布してはいますが、mRNAに比べると細胞全体に分布していることが分かりますね。
ショウジョウバエは、ビコイドタンパク質が多く存在するほうが前、ナノスタンパク質が多く存在するほうが後ろになります。
各タンパク質の濃度勾配が現れることで、ショウジョウバエの体軸(前後軸)が決定されるのです。
体軸決定に関わる遺伝子は受精前から備わっている
特定のタンパク質が発言するためには、mRNAが必要です。
今回の場合、ビコイドタンパク質が発現するためのビコイドmRNA、ナノスタンパク質が発現するためのナノスmRNAがかかわっています。
ビコイドmRNA・ビコイドタンパク質・ナノスmRNA・ナノスタンパク質の量を表したのが、次のグラフです。
縦軸にはmRNAまたはタンパク質の量、横軸には前後の位置が示されていますね
最初に注目するのは、ビコイドmRNAです。
ビコイドmRNAは、前のところに大量に存在しており、真ん中や後ろには存在していません。
その結果、ビコイドタンパク質は、前から後ろへ濃度勾配を形成します。
それに対して、ナノスmRNAは、後ろのところに大量に存在しており、真ん中や前には存在していません。
その結果、ビコイドタンパク質は、後ろから前へ濃度勾配を形成します。
ショウジョウバエの前後軸は、このような母性因子によって決定することになります。
それでは、タンパク質がグラフのような濃度勾配を形成しない場合はどうなるのでしょう?
実は、体の前後軸がうまく決まらず、形態形成のプロセスが正しく進まないのです。
ショウジョウバエの形態形成について見ていきましょう。