5分でわかる!神経誘導の過程
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この動画の要点まとめ
ポイント
BMPが外胚葉を表皮に分化させる
神経誘導とは、外胚葉が神経へ分化することです。
次の図を見てください。
これは、両生類の原腸胚終期の断面図です。
原腸胚期では、陥入によって原腸が胚の内側へ伸びていきました。
図では、胚の右下から胚の内側へ原腸が伸びていますね。
原腸の側部に、色の濃い領域があるのが分かりますか?
これは、原口背唇部です。
原口背唇部は、陥入点のやや動物極側に位置した領域です。
陥入が進むと、原口背唇部は原腸の伸長とともに、胚の内側へ取り込まれていくのです。
胚の外層の裏側に原口背唇部が位置している領域を、詳しく見ていきましょう。
次の右図は、原腸胚の断面図の黒枠で囲まれた部分を拡大したものです。
拡大図の右上には、胚の外層を形成している細胞が並んでいます。
左下には、陥入によって胚の内側へ取り込まれた原口背唇部が、色の濃い構造物で描かれています。
胚の外層は外胚葉に分類される組織です。
胚の外層をなす細胞は、BMPという因子を出しています。
BMPは、外胚葉を表皮に分化させる誘導因子です。
胚の外層はBMPを分泌し、自身やまわりの細胞へ作用させて表皮になる性質をもっていることになります。
原口背唇部から分泌される因子がBMPを抑制して神経へ
原口背唇部からは、ノギン、コーディン、フォリスタチンという因子が分泌されます。
これらの因子にはBMPを抑制する働きがあります。
原口背唇部から分泌される因子によってBMPが抑制されると、外胚葉は表皮へ分化しなくなるのです。
外胚葉からBMPが分泌されていれば、すべての外層の細胞は表皮になる予定でした。
BMPが抑制されて表皮へ分化しなくなった領域が、神経になっていくというわけです。
実は、外胚葉はBMPの作用を受けない場合に神経になる性質がもともと備わっています。
しかし、通常はBMPが分泌されることで外胚葉は表皮へ分化します。
原口背唇部は、外胚葉の神経誘導における形成体になっているということですね。
両生類の神経誘導のプロセスを見ていきましょう。