5分で解ける!動物の発生(テスト2、第1問)に関する問題
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この動画の問題と解説
問題
解説
形成体⇒他の組織の分化を誘導する組織
原口背唇部から分泌される誘導因子は3種類
原口背唇部は、受精時に卵の背側に出現する灰色三日月に相当する領域です。
胚の陥入が起こると、外層の細胞の一部が胚の内側へ取り込まれていき、原口と原腸が形成されます。
このとき、原口背唇部もいっしょに胚の内側へ取り込まれることが特徴です。
胚の内側へ取り込まれた原口背唇部と接している外胚葉領域が、将来的に神経組織へ分化されます。
このとき、原口背唇部から外胚葉に向かって誘導因子が放出されます。
その誘導因子は、ノギン、コーディン、フォリスタチンの3種類です。
外胚葉からは、自身に向かってBMPが分泌されています。
BMPは、外胚葉を表皮へと分化させる誘導因子です。
ノギン、コーディン、フォリスタチンは、BMPを抑制する働きをします。
外胚葉はもともと神経組織へ分化する能力をもっているため、BMPが抑制されることで神経組織へと分化されるのです。
原口背唇部から分泌される誘導因子が直接的に外胚葉を神経組織へ分化しているわけではないので注意しましょう。
局所生体染色法⇒胚の各領域を染色して追跡調査
生体染色液は、染色によって組織を破壊することのない染色液です。
生体染色液によって胚を染色し、染色領域の運命を観察することで、胚のどの領域が将来どのような胚葉や器官へ分化するかを調べることができます。
この実験結果に基づき、胚の各領域が将来どのような胚葉や器官へと分化するかを図示したものを原基分布図(予定運命図) といいました。
原基分布図の作成に至るまでに行われた実験は、局所生体染色法です。
局所生体染色法では、ナイル青(ナイルブルー)と中性赤(ニュートラルレッド)という生体染色液が使われることが特徴です。
この手法によって原基分布図を作成した研究者は、フォークトでしたね。
交換移植実験を行ったシュペーマン
フォークトの実験では、胚のどの部分が将来どのような胚葉や器官になるかが示されました。
しかし、胚の各領域の予定運命がいつ決定するかは明らかになっていません。
交換移植実験によって外胚葉領域の予定運命の決定時期を明らかにした研究者は、シュペーマンです。
細胞は自ら勝手に器官へ分化するわけではありません。
分化誘導能をもつ組織が働きかけることで、細胞は働きをもつ器官へと分化します。
ある組織を分化させる誘導能をもつ組織を、形成体(オーガナイザー) といいます。