5分でわかる!種なしブドウ
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この動画の要点まとめ
ポイント
ジベレリン⇒花粉管伸長を阻害し果実を形成
みなさんは、種なしブドウというものを知っていますか?
普通に栽培したブドウの果実の中には、種があります。
しかし、種があると食べにくいですよね。
そこで、果実に種を含まないブドウを栽培する方法が研究されてきました。
次の図を見てください。
これは被子植物のめしべの断面図です。
図では、柱頭に2つの花粉が受粉しています。
右の花粉から伸びた花粉管は胚珠に到達していますね。
花粉管が接している胚珠の中の細胞は、卵細胞という配偶子です。
卵細胞は、花粉管から送られた精細胞と受精します。
受精の直後、胚珠の下部からジベレリンが分泌されます。
ジベレリンは左の花粉から伸びた花粉管に作用し、その伸長を阻害します。
すると胚珠へたくさんの精細胞が送られることが阻止され、種子形成がうまく進むのです。
さらにジベレリンは、めしべの全域に広がっていきます。
ジベレリンが子房全体に作用することで、果実が形成されるのです。
この果実にエチレンが作用することで、果実は横に肥大していきます。
また、果実に蓄えられているデンプンが糖に変えられて、甘くみずみずしいものになるのです。
2回のジベレリン処理によって種なしブドウ形成
ジベレリンには、花粉管の伸長を阻害する働きや、子房を果実に変える働きがありました。
このような特性を利用することで、種なしブドウを作ることができます。
種なしブドウはどのように作られるのでしょうか。
種なしブドウを作るときは、2回のジベレリン処理が施されます。
ジベレリン処理とは、ブドウの房をジベレリン溶液に浸漬させる処理です。
まずは受粉をする前のブドウの房をジベレリン溶液に浸漬させます。
すると、ブドウに受粉した花粉は花粉管を伸ばすことができなくなります。
そのため受精も起こりません。
1回目のジベレリン処理では、正常な花粉管の伸長と受精を阻害するということです。
この処理によって、ブドウは種子を形成しなくなります。
本来めしべは、受精後に子房全体へジベレリンを分泌して果実を形成しました。
1度のジベレリン処理だけでは、受精が起こらないので自前のジベレリンが分泌されず、子房は果実になることができませんね。
そこで、2回目のジベレリン処理を行います。
ブドウの房を再びジベレリン溶液に浸漬させることで、子房が果実へと変化するのです。
1回目のジベレリン処理では受精と種子形成を阻止します。
2回目のジベレリン処理では子房を果実に変化させます。
このような処理を施すことで、受精による種子形成を起こさずにブドウの果実だけを作ることができるのです。
ジベレリンの作用を意識しつつ、種なしブドウの製法をおさえましょう。
種なしブドウの製法を見ていきます。