5分でわかる!落葉のメカニズム
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この動画の要点まとめ
ポイント
アブシシン酸とエチレンが協調的に作用⇒落葉
ブナの落葉に関与する植物ホルモンは2種類あります。
アブシシン酸とエチレンです。
ブナは、周囲が寒くなる秋口にアブシシン酸を分泌します。
アブシシン酸は寒冷刺激で分泌され、エチレンを合成させることが特徴です。
エチレンは気体の植物ホルモンです。
そのため、自身だけでなく周囲の木本にも作用します。
エチレンには離層を形成する働きがあります。
離層とは何でしょうか?
次の図を見てください。
これはブナの葉の付け根を拡大した断面図です。
図の左側はブナの幹です。
右側の葉を支えている部分は葉柄といいます。
葉柄には道管と師管が束になった維管束が通っています。
離層とは、エチレンによって葉柄部分に形成される領域です。
エチレンが作用すると、この領域の植物細胞の細胞壁は緩く脆くなっていき、その働きをやめていくのです。
離層が形成されると、維管束の中の生細胞も働きを失います。
すると、師管が機能しなくなります。
師管は、葉で合成された物質を輸送していましたね。
離層の形成にともない、葉で合成された物質は葉に蓄積されていくのです。
葉ではアントシアニンという色素が合成されています。
アントシアニンが葉に蓄積されると、葉の色が緑から赤へ変化します。
この現象が紅葉です。
紅葉が見られるということは、葉柄で離層が形成されていることを意味しているのですね。
離層の形成にともなって、離層の植物細胞の細胞壁は脆くなっていきました。
細胞壁には植物細胞をおおうだけでなく植物細胞どうしをつなげる働きもありましたね。
離層の形成が進むと、やがて細胞壁は葉の重みに耐えられなくなり、離層の部分で葉が外れるのです。
ブナは、落葉によって冬の厳しい寒さに対応しています。
落葉という現象は、アブシシン酸とエチレンという2種類の植物ホルモンが協調的に作用することで、紅葉を経て起こるのですね。
落葉のメカニズムを見ていきましょう。
今回は、夏緑樹林を構成するブナの落葉に注目します。