5分でわかる!生理実験1(短日植物)
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この動画の要点まとめ
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花芽形成を促進するホルモンはフロリゲンです。
また、短日植物の限界暗期は約13時間でした。
短日植物は、約13時間以上の暗期が与えられることでフロリゲンが合成され、花が咲くということです。
短日植物の限界暗期はどのように明らかになったのでしょうか。
まずは、短日植物の限界暗期を明らかにした実験を見ていきます。
様々な明暗条件で短日植物を観察すると、1日のうち約13時間以上の暗期が与えられた短日植物に花芽形成が見られました。
フロリゲンの存在やその合成のメカニズムが明らかになる前から、短日植物の花芽形成には約13時間以上の暗期が必要であることが明らかになったのです。
13時間以上の連続した暗期で花芽形成
短日植物のフロリゲンの合成にはフィトクロムという光受容体が関与しています。
次の図を見てください。
これは短日植物の花芽形成のメカニズムです。
フィトクロムには、Pr型とPfr型という2つの型がありました。
Pr型は赤色光を吸収してPfr型になり、Pfr型は遠赤色光を吸収してPr型になることが特徴です。
短日植物では、明期にPr型のフィトクロムがPfr型になります。
そして、夜間にPfr型は少しずつPr型へ戻りました。
暗期にPr型のフィトクロムが13時間分蓄積することで、フロリゲンが合成されて花芽形成が促進されるのです。
このような短日植物の花芽形成のメカニズムはどのように明らかになったのでしょうか。
さきほどの実験に続けて、赤色光と遠赤色光を用いた実験が行われました。
次の図を見てください。
今回の実験では3つの短日植物が用意されました。
すべての短日植物には、1日のうち13時間以上の暗期が与えられています。
しかし、それぞれの短日植物には暗期の間に赤色光や遠赤色光が当てられました。
上段の実験では、暗期の途中で赤色光が当てられています。
中段の実験では、暗期の始めに赤色光が当てられています。
下段の実験では、暗期の途中で赤色光が当てられたあとすぐに遠赤色光が当てられています。
実験の結果、中段の実験と下段の実験では花芽形成が見られました。
なぜこのような結果になったのでしょうか。
上段の実験では、暗期の途中で赤色光が当てられました。
暗期の途中で赤色光を当てる処理を光中断といいます。
光中断とは、植物体に蓄積したPr型のフィトクロムをすべてPfr型に変化させる処理です。
暗期の途中まではPfr型が徐々にPr型へ変化していました。
しかし、赤色光が当てられたことでPr型がすべてPfr型へ戻ってしまったのです。
そのためPr型が13時間分蓄積されず、フロリゲンが合成されなかったため花芽形成が見られませんでした。
中段の実験では、暗期の始めに赤色光が当てられました。
暗期の始めでは、まだPr型のフィトクロムはほとんど蓄積されていません。
一度赤色光を当てられても、そのあと13時間以上の連続した暗期が与えられたので、Pr型が13時間分蓄積され、花芽形成が見られたのです。
一度は光中断が起こったとしても、Pr型が13時間分蓄積されれば、フロリゲンが合成されて花芽形成が起こるということですね。
下段の実験では、暗期の途中で赤色光が当てられたあとすぐに遠赤色光が当てられました。
赤色光が当てられると、光中断によってPr型のフィトクロムはすべてPfr型に変化します。
しかし遠赤色光を当てることで、光中断によって変化したPfr型を再びPr型に戻すことができるのです。
遠赤色光を当てることで、光中断の処理が解除されるということですね。
そのため、Pr型が13時間分蓄積され、花芽形成が見られたのです。
この実験から、短日植物の花芽形成には合計13時間の暗期ではなく、連続した13時間の暗期が必要であることが明らかになりました。
また、短日植物の花芽形成にはフィトクロムが関与していることが示唆され、次第に花芽形成のメカニズムやフロリゲンの存在が明らかになっていったのです。
短日植物の花芽形成のメカニズムを調べた生理実験についておさえましょう。
短日植物の花芽形成に関する生理実験を見ていきましょう。