5分でわかる!生理実験2(短日植物)
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この動画の要点まとめ
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フロリゲンの特徴を明らかにした生理実験
花芽形成を促進するホルモンはフロリゲンです。
フロリゲンの特徴としては、葉で合成される、光では分解されない、師管にて全体に輸送される、短日植物と長日植物で共通している、などがあげられます。
このようなフロリゲンの特徴はどのように明らかになったのでしょうか。
フロリゲンの特徴を明らかにした対照実験を見ていきます。
次の図を見てください。
これは対照実験に用いられた短日植物です。
図の短日植物は短日処理を施されています。
短日処理とは、限界暗期(約13時間)以上の暗期を与える処理です。
図の短日植物は全体がおおわれて光が当たらない状態になっています。
この状態で13時間経つと、フロリゲンが合成されて花芽形成が起こるのです。
②の短日植物は、葉だけをすべて除いて植物全体に短日処理が施されています。
この実験では花芽形成は起こりませんでした。
結果から、暗期は葉で認識され、フロリゲンも葉で合成されることが分かります。
③の短日植物は、上部の葉だけに短日処理が施されています。
この実験では、植物の全体に花芽形成が起こりました。
結果から、一部で合成されたフロリゲンは植物の他の場所にも輸送され、その過程で光を浴びても分解されないことが分かります。
④の短日植物は、下部の葉だけに短日処理が施されています。
この実験では、植物の全体に花芽形成が起こりました。
③の実験でも植物の全体に花芽形成が起こりましたね。
結果から、一部の葉で合成されたフロリゲンは植物全体へ輸送されることが分かります。
⑤の短日植物は、根本に近い茎の一部で環状徐皮という処理が施され、上部の葉だけに短日処理が施されています。
被子植物の維管束の断面は、内側に道管、外側に師管が環状に並んでいましたね。
環状徐皮とは、茎の外側の師管が通っている部分だけを削ぐ処理です。
この実験では、環状徐皮が施された部位より上側で花芽形成が起こりました。
結果から、フロリゲンは師管で輸送されることが分かります。
⑥の短日植物は、一部に長日植物が接ぎ木されています。
接ぎ木とは園芸の手法でもあり、植物の枝の途中に異なる植物を接ぐ処理です。
図では、左が短日植物、右が長日植物です。
さらに、短日植物の一部の葉に短日処理が施されました。
この実験では、短日植物と長日植物の全体に花芽形成が起こりました。
接ぎ木によって、短日植物の師管と長日植物の師管はつながっています。
短日植物の一部で合成されたフロリゲンは、接ぎ木された部分を通って長日植物まで輸送されたということですね。
結果から、フロリゲンは短日植物でも長日植物でも花芽形成を促進するホルモンとして使われることが分かります。
短日植物と長日植物は、フロリゲンが合成される条件やメカニズムは異なりますが、どちらにも同じ花芽形成ホルモンが関与しているということですね。
短日植物の花芽形成のメカニズムを調べた生理実験についておさえましょう。
短日植物の花芽形成に関する生理実験を見ていきましょう。