5分でわかる!暗順応の経時的変化
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この動画の要点まとめ
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暗順応とは、眼が暗さになれる現象です。
視覚器はどれくらいで暗さになれていくのでしょうか?
暗順応の経時的変化を調べるために、以下のような実験が行われました。
ヒトを明るい部屋に入れたあと、急に部屋を暗くします。
そして、ヒトが暗闇の中で認識できる光の最小光強度を測定するのです。
次のグラフを見てください。
これは実験結果を表したものです。
横軸は、部屋が暗くなってからの時間です。
縦軸は、ヒトが認識できた最小光強度を表しています。
実験開始から最初の約7分間に注目してください。
時間が経つにつれて、認識できる最小光強度は少しずつ減少しています。
しかし、かなり強い光でないと認識することができませんね。
次に、実験開始から約8分経ったあとに注目してください。
認識できる最小光強度がどんどん減少していますね。
実験開始から約30分経つと、かなり弱い光も認識できるようになっています。
錐体細胞の感度上昇の後、桿体細胞が働き始める
なぜ、このような変化が起こるのでしょうか?
実は、部屋が暗くなってからの約7分間でロドプシンが合成されたのです。
ロドプシンは視細胞のうち桿体細胞に含まれる視物質でしたね。
桿体細胞は弱光を受容し、色の識別ができない視細胞でした。
部屋が暗くなった直後は、まだロドプシンが合成できていないため、桿体細胞が働いていません。
しかし実験開始から約7分後にロドプシンが合成されたことで、桿体細胞が働くようになり、さらなる感度の上昇が起こったのです。
暗順応では、ロドプシンが合成されることが重要だということですね。
またこの結果から、暗闇移行後、ロドプシンの合成にまでは時間がかかることも分かります。
部屋が暗くなった直後は、まだ桿体細胞は働いていませんでしたね。
実験開始からの約7分間で感度の上昇が見られたのはなぜでしょうか?
実は、錐体細胞の感度上昇が起こっているのです。
視細胞には、桿体細胞の他にも錐体細胞がありました。
錐体細胞は強光を受容し、色の識別ができる視細胞でしたね。
部屋が暗くなった直後から錐体細胞は働いています。
錐体細胞の感度が上昇したために、認識できる最小光強度が減少したのです。
実験結果から、暗順応の経時的変化についてまとめましょう。
暗闇移行直後からロドプシンは少しずつ合成されます。
錐体細胞は暗闇移行直後から働き、感度上昇が見られます。
約7分後には、桿体細胞が働き始め、さらなる感度上昇が見られるのです。
ビタミンA不足⇒ロドプシン合成×⇒暗順応×⇒夜盲症
ロドプシンはレチナールとオプシンからなる複合体でした。
レチナールはビタミンAともいわれます。
ビタミンAが不足し、体内でロドプシンが合成できないヒトでは、どのような暗順応の経時的変化が見られるのでしょうか?
これは、ビタミンAが不足しているヒトに対して上と同じ実験を行った結果を書き込んだグラフです。
ビタミンAが不足している場合、ロドプシンを合成することができません。
つまり、桿体細胞が働かないということです。
実験開始から約7分間は、錐体細胞が働き、感度上昇が見られます。
しかし実験開始から約8分経ったあと、認識できる最小光強度が全く下がらないのです。
これ以上の感度上昇が見られず、暗順応が起こらないということですね。
桿体細胞が働かないと、弱光は認識できませんでしたね。
このように、暗くなると目が見えなくなる症状を、夜盲症といいます。
暗順応の経時的変化について見ていきましょう。