生態系内の有機物の移動についてみていきましょう。

上の図は有機物の移動を模式的に示したものです。

各栄養段階での有機物の内訳を見ていきましょう。
まずは、植物などの生産者についてです。

生産者によって一定期間内につくられる有機物の総量を総生産量といいます。
しかし、生産者は総生産量をそのまま利用できるわけではありません。
生きるために呼吸をして、有機物を消費するからです。

生物が呼吸によって消費する有機物の量を呼吸量といいます。
そして、総生産量から呼吸量を除いたものを純生産量といいます。
また、現存量とは、植物のからだをつくる有機物量のことです。

生産者である植物は枯れたり、消費者に食べられることもあります。
これらをそれぞれ枯死量、被食量といいます。

純生産量から枯死量と被食量を差し引いた残りが、生産者の成長量です。
成長量は、次の期間の現存量に足されます。

次に消費者についてみていきましょう。

消費者も、生産者と同様に、からだをつくる現存量があります。
また、消費者にとっての摂食量は、生産者の被食量を指します。
摂食したうち、体内で消化・吸収されかなかったものが不消化排泄量です。

摂食量から不消化排泄量を除いたものは同化量と呼ばれます。
同化量は、摂食量のうち体内に吸収された分を指すのですね。

消費者も、生きるために呼吸をして、有機物を消費します。
同化量から呼吸量を除いたものが純同化量です。

また、消費者は死亡したり、さらに高次の消費者に食べられることがあります。
これらをそれぞれ死亡量、被食量といいます。

純同化量から死亡量と被食量を差し引いた残りが、消費者の成長量です。

ちなみに、分解者は、生産者の枯死量と消費者の死亡量から有機物を得ています。
特に、各栄養段階の成長量の算出方法をおさえましょう。