5分でわかる!一次共生
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この動画の要点まとめ
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一次共生で葉緑体が完成⇒紅藻類、緑藻類、シャジクモ類、陸上植物
葉緑体という細胞小器官は、すべての独立栄養生物に共通しています。
しかし、独立栄養生物は最初から葉緑体をもっていたわけではありません。
長い時間をかけて、葉緑体を獲得し、光合成ができるようになっていったのです。
独立栄養生物は、どのように葉緑体を獲得したのでしょうか?
実は、原核生物に別の生物が取り込まれて、それがやがて葉緑体となったのです。
このように、生物が他の生物に住みつくことを共生といいましたね。
葉緑体は、共生によってできていったのです。
葉緑体の元となった生物は何なのでしょうか?
それは、約30億年前に出現したとされる原核生物のシアノバクテリアです。
シアノバクテリアは、水と二酸化炭素を使って光合成を行い、酸素と有機物を合成することが特徴でしたね。
表を見てください。これは、様々な独立栄養生物がもっている特徴を表にまとめたものです。
表の、シアノバクテリアの列を見てください。
葉緑体のもととなったシアノバクテリアは、クロロフィルa、カロテノイド、フィコビリンという3種類の光合成色素をもっていました。
このシアノバクテリアが、原核生物に取り込まれて、やがて葉緑体になったのです。
次の図は、その過程を示しています。
これは、原核生物にシアノバクテリアが取り込まれるようすです。
このとき、シアノバクテリアは原核生物の細胞の膜に包まれるようなかたちで徐々に取り込まれていきます。
すると、葉緑体は、図のように二重の膜をもった構造になるのです。
このように、一度の共生によって葉緑体ができる過程を一次共生といいます。
一次共生によって葉緑体をもつようになった独立栄養生物は2種類います。
紅藻類と緑藻類です。
表から、それぞれの特徴を見ていきましょう。
葉緑体のもとになったシアノバクテリアは、クロロフィルa、カロテノイド、フィコビリンという3種類の光合成色素をもっていましたね。
このシアノバクテリアを一次共生によって取り込んだ紅藻類と緑藻類は、もっている光合成色素はシアノバクテリアと全く同じなのでしょうか?
実はそうではありません。
紅藻類は、シアノバクテリアと全く同じ、クロロフィルa、カロテノイド、フィコビリンをもっています。
しかし、緑藻類は、フィコビリンをもっておらず、代わりにクロロフィルbをもっています。
緑藻類は、進化の過程でもつ光合成色素を変えたのです。
緑藻類は、やがて多細胞生物となり、水際にも生息するようになります。
そのように進化した生物をシャジクモ類といいます。
さらに、オルドビス紀あたりにシャジクモ類は陸上進出を果たし、陸上植物となりました。
そのため、緑藻類、シャジクモ類、陸上植物のもつ光合成色素は、クロロフィルa、クロロフィルb、カロテノイドで共通しています。
そして、葉緑体は一次共生によってつくられ、二重膜構造をもっているのです。
今回は、この表の中で、特にシアノバクテリア、紅藻類、緑藻類、シャジクモ類、陸上植物に注目しました。
シアノバクテリアは原核生物界、紅藻類と緑藻類とシャジクモ類は原生生物界、陸上植物は植物界に分類されます。
それぞれの生物の分類もしっかりできるようにしましょう。
生物によって、もっている葉緑体の特徴は異なります。
様々な生物のもつ葉緑体の特徴と、葉緑体ができるまでの過程を見ていきましょう。