生物によって、もっている葉緑体の特徴は異なります。
様々な生物のもつ葉緑体の特徴と、葉緑体ができるまでの過程を見ていきましょう。

葉緑体の元となる生物は、原核生物のシアノバクテリアです。
シアノバクテリアが他の原核生物に取り込まれて、2重膜をもった葉緑体となることを一次共生といいます。

しかし、独立栄養生物の中には、すでに葉緑体をもっている紅藻類や緑藻類をさらに取り込んだものがいるのです。
この過程を二次共生といいます。

二次共生では、一次共生によってすでに葉緑体をもっている紅藻類や緑藻類を、別の原核生物が取り込みます。
すると、その独立栄養生物は4重膜をもつ葉緑体をもつことになるのです。
また、一部の生物では、葉緑体の一番外側の2つの膜が一体化し、3重膜構造の葉緑体をもつものもいます。

それぞれの独立栄養生物の特徴をまとめましょう。
紅藻類を取り込んだ独立栄養生物は、渦ベン毛類、ケイ藻類、褐藻類です。

紅藻類は、クロロフィルa、カロテノイド、フィコビリンをもっていましたね。
しかし、渦ベン毛類、ケイ藻類、褐藻類は、二次共生のタイミングでフィコビリンを捨て、クロロフィルcを獲得します。
そして、葉緑体は4重膜構造をしていることが特徴です。

また、緑藻類を取り込んだ独立栄養生物は、ミドリムシ類です。
緑藻類は、一次共生のタイミングでフィコビリンを捨て、クロロフィルa、クロロフィルb、カロテノイドをもっていました。
ミドリムシ類も、緑藻類と全く同じ光合成色素をもっています。
そして、葉緑体は3重膜構造をしていることが特徴です。

それぞれの生物は、もっている光合成色素や葉緑体の構造が異なるのですね。
表を丸暗記するのではなく、一次共生、二次共生のプロセスをおさえつつ覚えるようにしましょう。