今回のテーマは「細胞分裂を観察する際の手順」です。
細胞分裂がさかんな、タマネギの根の先を観察していきます。

細胞分裂を観察する際には いくつかの工夫が必要になります。 いきなり根を顕微鏡で見てもうまくいかないのです。
理由はいくつかありますが、例えば細胞の多くは 無色透明 です。
そのまま観察してもよく見えない場合があるため、 細胞に色を付ける（染色） といった工夫が必要になるのです。こちらを見てください。

まずは、タマネギの細胞に 塩酸処理 を行います。
細胞はたくさんくっついているため、観察するときには 1つ1つバラバラにする 必要があります。
ものを溶かす薬品である塩酸 を使って、細胞と細胞の間の くっついている部分を溶かす わけです。

バラバラにした後は、さらに観察しやすくするための工夫をします。
基本的には無色透明な細胞に 色を付ける（染色する） のです。
細胞の中には核があり、核の中には色に染まりやすい 染色体 があります。
この染色体を、 酢酸カーミン や 酢酸オルセイン などの薬品を使って染色します。

酢酸カーミンや酢酸オルセインを使って染色した後は、実際に顕微鏡で見ていく手順に入ります。
スライドガラスと呼ばれるガラスの上に染色した細胞をのせて、上からカバーガラスをかぶせます。
カバーガラスをかぶせた後、 ろ紙を置いて、指で軽くおしつぶす のです。
指で押しつぶす理由は、 細胞をさらにバラバラにするため です。
ろ紙を置く理由は、押しつぶすときに出てくる液体を吸収させるためです。

指で押しつぶした後は、いよいよ 顕微鏡で観察 していきます。
その際、低い倍率から徐々に合わせていき、はっきりと見える倍率に調整します。

根の先を観察するときは、以下の順番で行います。
①塩酸処理でバラバラに
②酢酸カーミンや酢酸オルセインで染色
③ろ紙を置いて指でつぶし、さらにバラバラに
④顕微鏡で観察
この順番と、それぞれの工程の役割や目的をおさえておきましょう。