5分で解ける!複素数の極形式の始まり(1)に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
極形式とは?
これまで複素数zについて,実数a,bを用いてz=a+biの形で表してきましたね。実は,複素数にはz=a+biとは別の表し方があり,それが極形式なのです。
複素数z=a+biを極形式で表すと,
z=|z|(cosθ+isinθ)
であり,角θを複素数zの偏角といいます。
例えば,複素数α=2{cos(π/4)+isin(π/4)}は極形式で表された式の1つです。……といっても,これだけ読んでサッと理解できる人はいませんよね。1つ1つ順を追って説明していきましょう。
長さ|z|と角θで表す
極形式を理解するには,複素数z=a+biを複素数平面上で考える必要があります。
点z(a+bi)が上の図のように表され, 原点との距離が|z| となることはすでに学習しましたね。ここで点zが,実軸の正の向きとなす角をθとすると,点zの位置は長さ|z|と角θによって1通りに決めることができます。直角三角形の斜辺が|z|であることから,
a=|z|cosθ
b=|z|sinθ
より, z=a+bi=|z|(cosθ+isinθ) となることがわかりますね。点zが,実軸の正の向きとなす角θを偏角と言います。
極形式への変形手順は?
今回の授業で特に覚えていただきたいのは,極形式への変形手順です。z=a+biの形で表された複素数は,どうすれば極形式 z=|z|(cosθ+isinθ) に変形できるでしょうか?z=a+biのa,bには具体的な数値が入ります。例えば,z=1+√3iなどの式は,どうすれば極形式に変形できるでしょうか?
次の2つの手順を覚えてください。
手順① |z|を計算する
複素数z=a+biの絶対値|z|は計算で簡単に求められますね。 |z|=√(a2+b2) です。
手順② 角θの値を求める
次に角θの値を求めにいきます。手掛かりになるのは, a+bi=|z|(cosθ+isinθ) の式です。この式に手順①で求めた |z|=√(a2+b2) を代入し,両辺の係数を比較すると,
a=√(a2+b2)×cosθ
b=√(a2+b2)×sinθ
となります。a,bには具体的な数値が入るので,θの値を求めることができますね。
極形式への変形手順を身に着けるには練習が必要です。次の問題で解法を確認していきましょう。
z=1+√3iの極形式は?
z=1+√3iを極形式で表したときの偏角θを求める問題です。極形式への変形手順は,①|z|を計算する,②角θを求めるでしたね。この問題では,(1)で|z|の値を求め,(2)で角θを求めます。
まずは絶対値|z|を求めましょう。 |a+bi|=√(a2+b2) の公式に,a=1,b=√3を代入すればよいですね。
次に|z|=2を用いて,z=1+√3iを極形式z=|z|(cosθ+isinθ)で表したときの角θを求めます。
重要なのは係数比較でしたね。
1+√3i=2(cosθ+isinθ)
⇔1+√3i=2cosθ+2isinθ
より,1=2cosθ,√3=2sinθとわかります。
cosθ=1/2,sinθ=√3/2であることから,60°,30°,90°の直角三角形が描けますね。
つまりθ=60°です。0≦θ<2πに注意して,弧度法で表せば答えとなりますね。
(1)(2)より, z=1+√3iの極形式はz=2{cos(π/3)+isin(π/3)} であることがわかりました。
今回は 複素数の極形式(きょくけいしき) について解説します。