物体が重力を受けて落下する運動のうち、「自由落下」「投げ下げ(投げ下ろし)」「投げ上げ」について学習してきましたね。今回は ある高さから物体を水平方向へ投げ出す「水平投射」 について解説していきましょう。

下の図を使って考えていきます。

図では、ある高さから物体を初速度v₀で水平方向に投げ出しています。ビルの屋上からボールを水平に投げ出す運動をイメージしてください。屋上からボールを投げたとき、ボールはどのように進むでしょうか。物体は一直線上には進まず、放物線を描きながら地面に落下しますね。重力によって物体が引っ張られるからです。

このように、水平方向に投げだした物体が放物線を描いて落下する運動を 水平投射 と言います。

今まで学んだ「投げ上げ」「自由落下」は、物体が地面に対して垂直な直線上を進む、一次元の運動でした。これらに対し、今回のテーマである 水平投射 は、 物体が進行する水平方向(x軸〉と重力加速度のはたらく鉛直方向(y軸)という2つの方向が関係する2次元の運動 になります。

水平投射では、y方向とx方向、それぞれの方向に分けて運動を考える必要があります。

上図において、y方向(鉛直方向)の運動だけに注目してみると、どうなるかイメージができますか。y方向だけ考えるというのは、つまり運動を横から見るということです。すると、次の図のように見えるのです。

なんだか、見覚えがありますね。まるで物体が一直線上に落下するようです。そう、水平投射では、y方向の運動だけに着目すると、 初速度0の自由落下運動 を行うのです。物体には初速度v₀が与えられてますが、これはあくまでx方向(水平方向)の速度なので、y方向には初速度がありません。y方向は、重力だけが関わってくるので 自由落下運動 になるのです。

水平投射のy方向は自由落下 になるのがポイントでした。では、水平投射のx方向はどのような運動になるのでしょうか？次のポイントで確認しましょう。