5分でわかる!静止摩擦力f
- ポイント
- 練習
この動画の要点まとめ
ポイント
物体が動こうとする力を妨げるのが「静止摩擦力」
これまで見てきた物体の運動は なめらかな床面 での運動でした。つまり、 摩擦力を無視できる 床だったのですね。しかし、 ざらざらとした粗い床面 では 摩擦力がはたらきます 。摩擦力のうち、静止している物体に力をくわえたたとき、 動き出すのを妨げようとする力 のことを 静止摩擦力 といいます。
静止摩擦力の例を紹介しましょう。
図は、指が力Fで物体を押していますが、物体は動き出しません。物体がざらざらとした粗い床面にあり、物体に静止摩擦力がはたらいているからです。
今まで床から受ける力は、鉛直方向にはたらく 垂直抗力 のみでした。しかし、粗い床の場合は 物体が動くのを妨げる静止摩擦力f がはたらくのですね。
指で押す力F=静止摩擦力f
今、この物体は静止しているので、力がつりあっていることが分かります。物体にはたらく力をすべて書き込み、 静止摩擦力f とつりあっている力に注目してみましょう。
物体には、指で押す力F、静止摩擦力fのほか、重力mg、床からの垂直抗力Nがはたらいていますね。このうち水平方向の力に着目すると、 静止摩擦力fは、物体を指で押す力Fとつりあっている ことがわかります。
動き始める瞬間=静止摩擦力が最大値
ここで、指で押す力Fをどんどん大きくしていくことを想像してください。すると、Fとつりあっている静止摩擦力fの値も大きくなっていきます。指で押す力Fをさらに大きくしていくと、やがて物体は動き始めますね。
物体がぎりぎり静止している瞬間、つまり物体が動き出す一歩手前を考えましょう。 動き始める瞬間の静止摩擦力fは、最大値になる ことに気付けるでしょうか。動き始める瞬間の静止摩擦力は fmax と書き、 最大静止摩擦力 と呼びます。 最大静止摩擦力fmax は、 垂直抗力N と 静止摩擦係数μ を使って、下のように式で表せることがわかっています。
この μ は、ギリシャ文字で ミュー と読みます。 静止摩擦係数μ は垂直抗力に比例する定数で、床と物体の組み合わせによって、いろんな値を取ります。
あくまで 静止摩擦力をμNで表すことができる のは、 物体が動き出す直前 であることに注意しましょう。ちなみに、物体が動き出してしまうと、はたらく摩擦力のことは静止摩擦力とは言いません。動いているときの摩擦力は 動摩擦力 といい、この後の授業で詳しく説明します。
今回は 静止摩擦力 について解説しましょう。