力には様々な種類があります。その中でも、重力はかなり特殊な力の一つで、 保存力 という種類に分類されます。 保存力 は皆さん、はじめて耳にする言葉ですよね。 保存力 とは次のように定義されています。

この定義だけを見て、さっと保存力を理解できる人は少ないでしょう。そこで、本当にどんな道筋を選んでも重力のする仕事はスタートとゴールだけで決まるのか次の例で確認していきます。

図はボールが点Aから基準点Oまで移動する様子を表しています。図の矢印のようにグニャリと曲がったルートを通って点Aから基準点Oまで移動した場合、位置エネルギーはどうなるでしょうか。

保存力の定義に従うと、このとき重力がボールにする仕事は、自由落下させたときと同じmgh[J] になります。それはなぜでしょうか。

曲がりくねった道を、鉛直方向と水平方向で細かく細かく分けていき、図のようにしてみましょう。

この角ばった道は元々の曲がりくねった道と全然違うじゃないか！と思うかもしれません。ですが、この道をもっと細かく分けていけば、最終的に元々の曲がりくねった道とほぼ同じものになります。

さてこのように角ばった経路で、ボールが点Aから基準点Oまで移動するとき、鉛直方向に移動するときは重力が仕事をしますが、水平方向に移動するときは仕事をしません。なぜならば、重力がはたらく方向と水平方向の移動は直角になるからです。力と移動方向が直角のとき、仕事は0になりましたよね。

つまり 重力がボールにする仕事を考えたとき、鉛直方向のみを考えればいい ということになります。したがって、この鉛直方向の移動を足し合わせるとh[m]になり、 重力のした仕事はどんな道を辿ったとしてもmgh[J]になる んですね

重力はどんな道筋を選んでも、 位置エネルギーはmgh[J] であり、 保存力 であるということが示せました。保存力に当てはまる力は限られた種類しかなく、力学の分野では、
重力：mg
ばねの力(弾性力)：F=kx
という2つの力があります。当面はこの2つを覚えておいてください。