5分で解ける!非保存力がはたらく場合の力学的エネルギー保存則に関する問題

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この動画の問題と解説
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解説
物体にはたらくのは「重力」と「垂直抗力」

(1)はB点を通過するときの速さを求めます。B点は最下点ですね。 速度は常に円に対して接線方向になる ので、Bでの速度は水平右向き、vB[m/s]としましょう。

もし、AからBまでに 非保存力 が仕事をしていなければ、 力学的エネルギー保存則 を使ってvBを求めることができます。小球にはたらく力を確認していきましょう。

まず、小球には重力mgがはたらいています。 重力 は 保存力 でしたね。他に、接触力である垂直抗力Nがはたらきます。垂直抗力Nは 非保存力 で、図のように円の中心方向にはたらいています。

一方、速度は常に円に対して接線方向となるので、小球の移動方向も接線方向です。つまり、 小球の移動方向と垂直抗力Nは常に垂直 となるのです。 力と移動方向が垂直のとき、仕事は0 でしたね。 非保存力である垂直抗力Nが仕事をしないということは、小球の持つ力学的エネルギー(K+U)は保存される ということがわかります。
点Bでの位置エネルギーはゼロ

力学的エネルギー保存則を使うには、まず、位置エネルギーの基準を定めます。今回は最下点であるB点としましょう。次に、A点とB点の運動エネルギー・位置エネルギーをそれぞれ求めます。

A点 では速度が0なので 運動エネルギーは0[J] 、 位置エネルギー は高さがr[m]であることから mgr[J] です。 B点 では小球の速さはv[m/s]なので 運動エネルギーは1/2・mvB2[J] で、 位置エネルギー は 基準点なので0[J] となります。したがって、力学的エネルギー保存の法則から次の式が立てられます。

求めたいのはvBでしたね。上の式をvBについて解くと、速さが求められますね。

点Cでの高さは1/2・r

(2)はC点を通過するときの速さを求める問題です。C点を通過するときの速さをvc[m/s]としましょう。

AからB、BからCへ小球が移動するとき、非保存力の垂直抗力は仕事をしていないので、 力学的エネルギーは保存されます ね。
A点での力学的エネルギー は(1)より、
0+mgr です。
C点での運動エネルギー は
1/2mvc2 です。
では位置エネルギーを計算するために、高さを求めましょう。
高さを求めるためにまずC点からOBに垂線を降ろします。


図のように斜辺OCがr[m]の直角三角形を考えたとき、Oから垂線の足までの長さは一体いくらになるでしょうか。
(斜辺)×cos60°=(底辺)より、
r×cos60°=1/2・r
ということがわかります。
次に、垂線の足からB点までの長さは、円の半径から先ほどの1/2・rを引けばいいので、 点Cの高さは1/2・r[m] となりますね。
よって、C点での位置エネルギーはmg×r/2と表すことができますね。
今回も力学的エネルギー保存の法則から式を立てて、vcについて求めましょう。

地面での位置エネルギーはゼロ


(3)では、小球が地面に達するときの速さを求めます。
C点を通過した後、小球は速さvCで 斜方投射 されて放物線を描き、地面に達します。
この地面に達するときの速さをv[m/s]とし、小球が地面に到達した場所をD点とします。


C点から地面のD点に移動する間も力学的エネルギーは保存されます。 つまり、A点からB点、C点、D点を通過する間ずっと力学的エネルギーは保存され続けるんですね。

このことに気づくと、D点での速さv[m/s]は計算済みだということに気付けるでしょうか。(1)でB点での速さを計算しましたが、B点とD点は同じ高さですね。また、どちらも位置エネルギーは0です。つまりB点と地面に達するときの運動エネルギーは同じということが言えます。


複雑に見える運動ですね。まず問題文をしっかり読み解きましょう。「円形の なめらかな すべり台」とあるので、このすべり台には 摩擦がありません ね。また、問題文の最後に「質量mの小球をA点で 静かに離す 」とあるので、A点での 小球の初速度は0[m/s] です。さらに、「C点ですべり台から小球は飛び出した」とあるので、小球はA点からB点を通り、C点を飛び出して放物線を描いたということになります。