5分でわかる!変圧器
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この動画の要点まとめ
ポイント
1次コイルの電圧V1を2次コイルの電圧V2に変換
変圧器の例を具体的に見てみましょう。下の図のように、鉄製のドーナツ型の心があり、左側にN1回巻きのコイル、右側にN2回巻きのコイルをつなぎます。
左側のコイルを 1次コイル 、右側のコイルを 2次コイル とし、 1次コイルは電圧V1、電流I1 の交流電源とつなぎ、 2次コイルは抵抗 とつなぎます。また、2次コイルの抵抗にかかる 電圧をV2、流れる電流をI2 とします。
ここで左側と右側には、 入力と出力の関係 があります。発電所で発電した電圧V1の交流電気が1次コイル(左側)から送り出され、2次コイル(右側)の電圧V2の電気へと変換されます。
電圧比は巻き数の比に等しい
この変圧器で成り立つ関係式を考えてみましょう。
交流電源から左側の1次コイルへ電流が送り出されると、コイルを貫く磁場が発生します。この磁場は2次コイルも貫きます。交流電源の電流は変化するので、当然磁場も変化します。磁場が変化すると、出力側の2次コイルに電磁誘導が起こり、電流が流れます。これを誘導電流といいましたね。
2次コイルに流れる誘導電流をI2、抵抗にかかる電圧をV2とすると、 電圧V2は2次コイルの巻き数に比例 します。つまり、2次コイルの巻き数が多ければ多いほど、電圧はより大きくなるのです。よって、
V2∝N2
と表すことができます。
一方、電圧が巻き数に比例することは、左側の1次コイルでも同様に V1∝N1 と考えることができます。したがって、電圧比と巻き数の比には次のような関係があります。
電圧比は巻き数の比に等しい という関係が成り立つのですね。
送電に変圧器が用いられる理由
電圧比は巻き数の比に等しい という関係を踏まえて、発電所でつくられる交流の電気を送電するときに 変圧器 を用いる理由を考えてみましょう。
交流の電気は送電線によって家庭や工場などに運ばれますが、送電線の電気抵抗により、ジュール熱が発生し、エネルギーの一部は失われてしまいます。その際、送電線に送り出す電圧が高ければ高いほど、電流が小さくなり、ジュール熱によるエネルギー損失を少なくできます。つまり、 送電には電圧が高い方が都合がよい のです。
変圧器 で、例えば、1次コイルと2次コイルの巻き数を1:1000のような極端な値にしてみましょう。すると、2次コイルの電圧は、1次コイルの電圧の1000倍に引き上げることができます。 変圧器 では、コイルの巻き数を変化させることで、 電圧を自由に変化させる ことができるのです。
入力側と出力側のエネルギーは等しい
ちなみに変圧器における、入力側の電力P1=I1V1と出力側の電力P2=I2V2はエネルギー保存の関係から等しくなります。
変圧器における、これら2つの関係式をおさえておきましょう。
電池から得られる電気は、電圧と電流の向きが一定の 直流 でした。これに対して、発電所で発電されている電気は、 電圧と電流が周期的に変化 する 交流 です。今回は、この発電所でつくられる交流の電気を送電するときに用いる 変圧器 について解説します。