粗い床面 に置かれた物体に力を加えるとき、 動き出すのを妨げる方向 に 静止摩擦力 がはたらきましたね。しかし、物体が動き出したら、急に摩擦力がなくなるわけではありません。 粗い床面 では、物体が滑りだしたあとも、 運動を妨げる向き に摩擦力がはたらきます。動いているときにはたらく 動摩擦力 について、今回は解説していきましょう。

粗い床面を速度v[m/s]で動く、質量m[kg]の物体を例にして考えてみましょう。

粗い床面を物体が動いています。このとき物体には重力と接触力がはたらいていますね。重力mgと垂直抗力Nについては、物体が静止しているときと変わりません。しかし、粗い床面を物体が動くときには、これらに加え 動摩擦力f' がはたらきます。静止摩擦力はfという記号で表されましたが、動摩擦力はそれと区別して f' と書きます。

動摩擦力f'の方向は物体の 移動する方向と逆向き ですね。

では、動摩擦力f'の大きさはどう表せるでしょうか？

静止摩擦力fは、最大値をμNと表せました。これに対して 動摩擦力f'はどんな場合でも、常に大きさが一定でμ'N と表されます。μ'は比例定数で 動摩擦係数 と言います。静止摩擦力と同じように、 垂直抗力Nに比例する というのがポイントですね。

μ'もμと同じく床と物体の組み合わせで値が決まります。そしてμとμ’を比べると、実は μ'の方がμよりも必ず小さい ということも実験によってわかっています。 μ’＜μ ということをしっかり覚えておきましょう。