5分で解ける!重心の位置に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
重心の位置の”ズレ”をイメージしよう
まずは重心の位置がどのあたりにくるのかを予想しましょう。もし、この円板が繰り抜かれていなかった場合、円の中心を支えればつりあいそうですね。したがって、もとの重心の位置は支えてつり合う円の中心となります。
今回の問題のように繰り抜いた場合、繰り抜かれた右側は左側に比べて軽くなるので、同じように円の中心の位置で支えようとすると左に傾いてしまいますね。したがって、繰り抜かれた場合の重心は円の中心よりも左側にあるのではないか、と予想ができます。問題では、重心がどれだけ円の中心から左にズレた位置にあるのか、ということを聞いています。このズレた距離をxと置きましょう。
重心の位置 は、 左側の質量と右側の質量の逆比で定まる ことをポイントの授業で覚えましたよね。しかし、この重心Gだけをみても、 左側の質量と右側の質量 がわからないので、うまく重心の位置を定めることができません。
そこで、「繰り抜いた小円板」を戻したときを考えましょう。「繰り抜いた小円板」をもとに戻すと、重心はOになりますね。もともとの 点Oをモーメントの基準点 にとり、 モーメントのつりあい を考えると、どうなりますか? 左側の点Gには「繰り抜いた後の残りの円板」の重力すべてがかかっていて、右側の点Aには「元に戻した小円板」の重力がすべてかかっている状態になりますね。このことから、xの値を定めていくのです。
「繰り抜いた後の残りの円板:元に戻す小円板」の質量比は?
「繰り抜いた後の残りの円板」と「元に戻す小円板」の質量から求めていきます。
「元に戻す小円板」の半径はr/2、面積はπ(r/2)2ですね。一方、「もともとの大円板」の半径は2倍のr、面積は4倍のπr2です。 厚みと密度が一様のとき、質量は面積に比例 します。したがって「元に戻す小円板」の質量をm[kg]とおくと、「元々の大円板」の質量は4m[kg]となるわけです。
「繰り抜いた後の残りの円板」は、「元々の大円板」から「元に戻す小円板」を引けばいいので3m[kg]と表すことが出きます。つまり、 「繰り抜いた後の残りの円板:元に戻す小円板」の質量比は3m:m=3:1となる のですね。
別々の物体として、力がつりあう条件を考えよう
繰り抜いた小円板を元に戻すとき、重心Gには残った円板の全質量3mがかかり、点Aには元に戻す小円板の全質量mがかかると考えることができます。このとき、重心は元々の円板の中央Oに戻りますね。これは元々の円の中心を支点としてx[m]左側に3m[kg]のおもり、r/2[m]右側に1m[kg]をつけている状態だと考える事もできます。 円板のままだとわかりづらいので、下の図のような棒の状態で考えてみましょう。
ここで、 重心の位置で内分する距離の比は質量の比の逆比 であったことを思い出してください。質量の比は、「繰り抜いた後の残りの円板」:「元に戻す小円板」=3m:m=3:1となり、その逆比は1:3です。このことからxとrの比を求めることができますね。
小円板を元に戻したときのモーメントのつりあいを考えることにより、この物体の重心の位置はOからAと反対側に r/6 離れているということがわかりました。
今回は穴の空いた円板の重心を求める問題です。問題文にある、 厚みと密度が一様 というのは非常に大切な条件です。もしもこれが一様でなかった場合、問題文の条件のみでは重心の位置を求めることはできません。