5分で解ける!慣性力に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
観測者が外なら運動方程式を立てる!
観測者がエレベーターの 外 にいる場合を考えましょう。観測者が地上に立ち、エレベーターが透明で中身が見えているとイメージしてみてください。
外からエレベーター内の小球を見ると、小球はエレベーターと一緒に加速度a[m/s2]で上向きに加速度運動することがイメージできますか?
求めたいのは小球にはたらく張力T[N]ですね。加速度運動をしている物体の場合、力と運動の関係を 運動方程式F=ma によって表せます。今回は小球の運動方向である上方向をプラスの方向に定めましょう。
次に小球にかかる力を考えます。重力は小球の質量m[kg]と重力加速度g[m/s2]を用いて下向きにmg[N]となります。また、小球は糸に接しているので糸から上向きに張力T[N]で引っ張り上げられています。
求めるのはこの張力T[N]の大きさですね。 運動方向と平行な力はT−mg となるので、運動方程式は T−mg=ma と立式できます。Tについて解くと、答えを求めることができますね。
観測者が中にいるなら、慣性力に注意!
観測者がエレベーターに乗っている、つまり 中 にいる場合です。エレベーターが移動しているとき、観測者から小球を見ると静止しているように見えますね。静止しているということは運動方程式を立てる必要はなく、 力のつり合い から張力を求めることができます。
それでははたらく力を考えましょう。小球には 重力 mg[N]が下向きにはたらきますね。さらに接触力の 張力 T[N]が上向きに小球を引っ張るようにはたらきます。 観測者が加速度運動をしているときに、もうひとつ忘れてはならない力がありましたね。そう、 慣性力 です。慣性力は観測者の加速度と逆向きにはたらくので、今回は下向きとなります。また、大きさは小球の質量m[kg]と観測者の加速度a[m/s2]を用いてma[N]と表すことが出来ます。
はたらく力をすべて書き込んだら、つりあいの式を立てましょう。図より、
T=mg+ma
となります。Tについて解くと、答えを求めることができますね。
(1)と(2)の違いはわかりましたか? (1)では 観測者から見て小球は運動 をしていたので、 運動方程式 から張力を求めました。(2)では 観測者から見て小球は静止 していたため、 運動方程式ではなく慣性力を考えたつり合いの式 から求めました。2つの違いをしっかりと理解しましょう。
「観測者がエレベーターの外にいる場合」と「観測者がエレベーターの中にいる場合」の2つの立場で、張力T[N]の大きさを求めます。観測者がどこにいるかによって、問題を解くポイントは異なります。どんな力がはたらいているか考えながら解いてみましょう。